ヤマビル研究の新たな展開
株式会社山と溪谷社が新刊『ヤマケイ文庫ヒルは木から落ちてこない。ぼくらのヤマビル研究記増補版』を2024年8月19日に刊行します。本書は、三重県鈴鹿山脈の麓に住む小中学生が中心となって取り組んだヤマビルの実践的研究の成果を伝える一冊です。
科学と好奇心の融合
この本は、単なる動物の研究にとどまらず、子どもたちの自由な発想と純粋な好奇心が織りなす「実践科学」の成果をまとめています。彼らは様々な観察や実験を通じて、一般には知られていないヤマビルの特性を次々と発見しました。
「好奇心が未知の扉を開ける衝撃が満載だ」を名乗る人類学者の山極壽一氏が絶賛した本書では、彼らが直面したヤマビルに関する問題が描かれています。
- -日本人に嫌われ者のヤマビルが、実はどんな秘密を持っているのか?
子どもたちの実験
子どもたちが取り組んだ具体的な実験例を紹介します。
- - ヒルに塩: どの濃度の塩水がヒルを撃退するのか?
- - 反応: ヒルは何に引き寄せられるのか?
- - 木から落ちる: ヒルは本当に木から落ちてくるのか?
- - 登る時間: 足元から首まで上がるのにかかる時間はどれくらい?
- - 生態: ヒルがどのように分布を拡大しているのか?
- - 皮膚の強度: ヒルの皮膚はどれくらいの引っ張りに耐えられるのか?
- - 吸血: ヒルは生き血しか吸えないのか?
すべての実験は、観察や実地試験によって実施され、子どもたちの科学的思考力や創造力が試されています。
新たな発見と研究
2021年の単行本として刊行されたこのシリーズは、花崗岩と石灰岩の山におけるヤマビルの分布を研究した結果を基にしています。それによると、石灰岩の地域ではヒルが多く、花崗岩の地域では少ないとのことでした。しかし、後の研究では、驚くべきことに屋久島の花崗岩の山でもヒルが多数存在することがわかりました。このことから、さらなる実験や研究の必要性が打ち出されました。
増補版では、全国各地の土を使用した壮規模な実験も行い、その結果が注目されています。この新しいデータは、今後のヤマビル研究に大きな影響を与えることでしょう。
著者の紹介
本書の著者、樋口大良さんは、子どもヤマビル研究会のコーディネーターです。彼はもともと小学校の教師で、定年を迎えてからこの研究会を立ち上げ、子どもたちと共にヤマビルについての研究を通じて、学びと驚きの場を提供しています。彼のブログも参考にしてみてください。
書籍情報
このたびの文庫版では384ページにわたって、ヤマビル研究の興奮を伝えています。1260円(本体価格1100円+税)で手に入れることができ、科学的興味のあるお子様や保護者の方々にぜひ読んでいただきたい一冊です。
このように、好奇心が集まる場所で生まれる実験や観察は、子どもたちの成長に欠かせない要素です。未知の世界に挑戦する彼らの姿を応援し、一緒に知識を広げていくことが求められています。