Fixstars AmplifyとDNP、量子コンピューティングで新たな連携を実現
株式会社Fixstars Amplifyは、同社が提供する量子コンピューティング向けソフトウェア開発環境「Fixstars Amplify SDK」と、大日本印刷株式会社(DNP)がオープン環境で提供する「DNPアニーリング・ソフトウェア」との連携を発表しました。これにより、製造業や物流業などのデジタルトランスフォーメーション(DX)推進における実運用レベルのアプリケーション開発が、より簡単に行えるようになります。
DNPアニーリング・ソフトウェアは、高速で組合せ最適化問題を解決するソフトウェアエンジンであり、GPU搭載のPCで動作するオンプレミス環境向けに設計されています。この連携により、Fixstars Amplify SDKを通じて、DNPアニーリング・ソフトウェアに直接接続することが可能となり、複雑な最適化問題に対する迅速な解決手段を提供します。
組合せ最適化問題とその重要性
組合せ最適化問題は、製造や物流、金融などさまざまな業界において重要な計算ニーズを抱えています。この課題は、最適な組み合わせを見つけることに関するものであり、具体的には物流の輸送計画や製造計画などで、効率性を高めるための重要な要素とされています。しかし、考慮すべき変数が増えることで、解決が難しくなるという特性があります。
Fixstars Amplify SDKの特長
Fixstars Amplify SDKは、組合せ最適化のためのソフトウェア開発環境です。特に、従来のアニーリングシステムで必要だった「論理モデルの変換」「物理モデルの変換」「求解の実行」の3ステップを自動化することで、直観的かつアプローチしやすいプログラミングのワークフローを実現しました。この機能によって、開発者は専門的な知識を持たなくても、高度なアプリケーションを開発することができます。
インダストリー4.0への貢献
DNPの岩口和裕 ABセンター事業開発ユニット長は、両社の連携により幅広い顧客に利用される環境が整ったことを喜び、製造や物流のデジタル化を推進する上で、量子アニーリング技術の採用が如何に業務の効率化をもたらすか説明しました。
DNPは、長い間、組合せ最適化の実績がある企業で、Fixstars Amplifyとの連携を通じて、具体的な課題解決に寄与できることを期待しています。一方、Fixstars Amplifyの平岡卓爾社長も、DNPとの実績に基づいた連携が新たな価値を創出し、さらなるユースケースの拡大に貢献できると語っており、両社の展望が期待されています。
オンプレミス環境での利便性
この新たな連携の最大の利点は、GPUを搭載したパソコンさえあれば、ネットワーク環境に制約のある工場や倉庫内のオンプレミス環境でも動作させることができる点です。これにより、特に生産計画やピッキング計画の最適化において、迅速なシステム開発と運用が実現可能です。
まとめ
Fixstars AmplifyとDNPの提携は、量子コンピューティングの新たな時代を切り開く重要な一歩となりました。両社は今後も、さまざまな業界において社会が抱える最適化問題の解決に向けて、より良いソリューションを提供することを目指します。今後の動向に注目です。