JDSCとゴーデルブロック、粒子法解析技術での新しい道を開く
このたび、東京都文京区に本社を構える株式会社JDSCが、東京都新宿区に本社を持つ株式会社ゴーデルブロックと粒子法による解析技術の提携を発表しました。この取り組みは、製造業における解析手法の高度化とその応用展開を目指すものです。
粒子法とは
粒子法は、従来の格子ベース手法では難しいとされる、自由表面流や粉体、混相流などの複雑な物理現象を柔軟に再現できる解析手法です。この技術は、特に空力や流体解析、または射出成形・鋳造の最適化に役立ちます。さらに、粉末や顆粒の混練・搬送についても、高度な可視化と最適化を実現します。
ゴーデルブロックのシミュレーションソフトウェア
提携先であるゴーデルブロックは、粒子法のアルゴリズムに基づいたシミュレーションソフトウェアを持ち、その最大の特徴は、高速かつ軽量であることです。これにより、一般的なPC環境でも手軽にシミュレーションを行うことができ、多くの製造現場における活用が期待されます。
技術提携の意義
JDSCのAI技術とゴーデルブロックのシミュレーション技術を融合させることで、流体解析の高度化を実現します。データサイエンスディレクターの森浩太氏は、「粒子法は製品設計やパラメーターの変更に対して、その機能評価をコンピューター上で高速に行える点が魅力」と述べています。彼によると、従来の機械学習や数理最適化のアルゴリズムでは、実機試験が必要となるため、コストが高くつく場合が多いですが、粒子法を用いることによってその制約が軽減されるのです。
この提携を通じて、JDSCとゴーデルブロックは、開発から製造までの工程において最適化支援を行い、実機試験の削減によって開発設計のリードタイムを短縮し、設計品質の向上を目指します。また、デジタルツイン技術を活用し、「試作レス」を実現することで、製品開発工程全体の効率化を図ります。
新たな設計アプローチの確立
この提携によって、物理現象を精緻に予測し制御できる新たな設計アプローチが確立され、製造業の企業にとっての品質向上と競争力強化につながると期待されています。
ゴーデルブロックの田中氏について
田中昭雄氏は、精密加工やシミュレーション技術の分野での豊富な経験を有する技術者です。株式会社インクスや自身の設立したゴーデルブロックなどで、製造業における開発設計支援や工程改善を推進してきました。このような経験が、今回の提携においても重要な役割を果たすと考えられます。
JDSCの役割
株式会社JDSCは製造業だけでなく、物流、エネルギー、ヘルスケア、公共など多岐にわたる分野で、社会課題や産業共通課題の解決に取り組んでいます。特に、基幹産業を支えるAIソリューションの提供に強みを持ち、共同開発や横展開を通じて、その効率性向上に貢献しています。今後も、JDSCはAI技術を駆使した新たな価値の創造に挑んでいくことでしょう。