新しいカンチレバー式水切断装置「ABRASIVE JET CUTTER CL-5AX」の登場
最近、スギノマシンよりカンチレバー式の超高圧水切断装置「ABRASIVE JET CUTTER CL-5AX」が発表されました。本装置は、従来モデルを大幅に改良し、加工速度や精度の向上はもちろん、作業者の安全性や省エネルギーにも配慮されています。以下では、その特長や仕様について詳しく見ていきます。
1. 装置の概要
「ABRASIVE JET CUTTER CL」は、特に中型のワークに適したスタンダードモデルとして知られています。今回のモデルチェンジにより、さらに優れた性能を発揮できるようになりました。これにより、多様な材料に対しての切断・加工が可能となっています。具体的には、金属、CFRP、ガラスなどさまざまな材料に対応しています。
2. 開発の背景と目的
切断速度と加工精度の両立がウォータージェット加工機に求められるため、今回の「CL-5AX」では5軸制御による自動テーパ補正が実装されています。加えて、ポンプの圧力を向上させることで、従来の性能を凌ぐ切断速度を実現しました。これにより、効率的で安全な作業環境が整えられています。
3. 主な特長
(1) 高速・高精度加工
5軸制御構成を取り入れた改良型自動テーパ補正機能が装備されています。この機能により、切断条件に応じてテーパ角度を自動で調整し、高速でも加工精度が維持されるため、特に複雑な形状の加工に強みを発揮します。
(2) プロダクティビティの向上
リング式超高圧水発生ポンプの最大吐出圧力が343 MPaから380 MPaに向上され、切断速度が約8%向上しました。これによって、生産性が大きく改善されます。
(3) 省エネルギーを実現
新たにサーボモータを駆動源とする油圧ポンプを採用し、消費電力を従来機比で約30%削減しています。これにより、コストを抑えつつも環境に優しい装置となっています。
(4) スペース効率の改善
この新しい水切断装置は、機器を一つに集約し、省スペースに設置できます。2,000mm×1,300mmの大きな加工ストロークを持ちながら、設置に必要な面積は約20平方メートルとコンパクトです。
(5) 安全性向上の工夫
加工ユニット全体を外周カバーで覆うことにより、水の飛散や作業者の接触リスクを低減しています。これまで以上に安全な作業環境が実現されているため、工場内のレイアウトも自由に変更可能です。
(6) 環境への配慮
冷却ユニットが内蔵され、冷却水の供給を必要としないため、地球温暖化防止にも貢献します。フロンレスの設計は、現代のニーズに応えていると言えるでしょう。
4. 仕様詳細
- - 商品名:カンチレバー式超高圧水切断装置「ABRASIVE JET CUTTER CL-5AX」
- - 用途:平面形状の金属、CFRP、ガラスなどの加工
- - 最大ストローク:X軸:2,000mm、Y軸:1,300mm、Z軸:160mm、A,B軸:±7°
- - 外観寸法:幅3,000×奥行6,700×高さ2,450mm
- - 質量(乾燥):12,500kg
- - 販売開始時期:2024年11月、JIMTOF2024にて展示予定
5. まとめ
この新型水切断装置「ABRASIVE JET CUTTER CL-5AX」は、加工精度や安全性、省エネルギー性を兼ね備えた、高性能な機械となっています。特に多様な用途に対応可能なこの装置は、金属加工の現場や開発部門、さらには教育機関においても多くの可能性を秘めています。さらに、2024年11月からは市場に登場する予定ですので、興味がある方はぜひJIMTOF2024でその姿をご覧ください。