児童養護施設出身者を支える「オンライン里親プロジェクト」
一般財団法人みらいこども財団が展開する『オンライン里親プロジェクト』は、困難な環境から大学や専門学校に進学する若者たちをチームで支援するユニークな取り組みです。このプロジェクトでは、今年度から新たに12名の奨学生への支援を開始することが発表されました。
プロジェクトの概要と背景
『オンライン里親プロジェクト』は、2021年に始まり、一人の学生に対し約6~7名の支援者が協力してサポートしていく仕組みを取っています。里親たちは、月1万円を拠出し、そのうち7割を奨学金として学生に提供、3割を運営費に充てるという柔軟な資金運営がなされています。これまでに200名以上のオンライン里親が35名の学生を支えてきた実績があります。
今年度の奨学生の一人である神崎一さん(仮名)は、小学校5年生時に児童養護施設に入所し、大学で社会福祉を学ぶことになりました。将来的には、社会福祉士として児童養護施設の職員になりたいと夢を描いています。大学生活では手話にも挑戦したいと意欲を見せ、オンライン里親たちは彼の学びと生活を、これから4年間にわたって支えます。
児童養護施設出身者の現実
日本には約600の児童養護施設が存在し、23,000人以上の子どもたちが暮らしています。これらの子どもたちは、虐待や貧困などの多様な理由から家庭での養育が難しい状況にあり、特に大学進学率は全国平均の半分以下に達しています。
更に、進学後の中退率も高く、就職後は3か月で約2割が退職するという厳しい現実が待ち受けています。これらの子どもたちは18歳で施設を退所することとなりますが、社会に頼れる大人が存在せず、経済面でも困難を抱えることが多いのです。
プロジェクトの特長と効果
このプロジェクトの大きな魅力は、金銭的な支援だけに留まらず、信頼できる大人との「つながり」を築く点にあります。里親との定期的なオンライン交流を通じて、若者たちは孤独や不安感を軽減し、前向きな姿勢で学業や生活に取り組むことができるのです。
里親たちからは、「新生活はどう?頑張ってる?」という温かいメッセージが送られ、卒業後もつながりが続くことから、若者たちの精神的な支えにもなっています。このように、信頼関係は彼らの成長を支える重要な要素となっているのです。
新たな奨学生の募集と将来への期待
現在、2025年度の第2期奨学生の募集が行われており、経済的支援だけでなく、心の支えを必要としている子どもたちに向けての里親の募集も続いています。多くの人がこのプロジェクトに参加し、若者たちの未来を共に築く機会を与えてほしいと願います。
みらいこども財団の取り組み
みらいこども財団は、全国の児童養護施設への訪問ボランティア活動や、施設職員とのネットワーク構築を基盤に、オンライン里親制度を運営しています。子どもたちとの温かい「つながり」を重視しつつ、寄付も随時受け付けていることから、広く支援を呼び掛けています。
このような取り組みを通じて、子どもたちの未来が明るくなることを期待しています。