CLL患者調査から見えた治療における負担軽減の重要性
9月1日は「世界CLLデー」。この日、Johnson & Johnson(以下、J&J)は、慢性リンパ性白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者に関する調査結果を発表しました。この調査では、現行の治療に対する満足度や、求められる治療方針についてのデータが明らかになりました。発表された結果によると、約半数の患者が「日常生活の維持」と「経済的負担の軽減」を目的とした治療を求めていることが示されました。
CLL/SLLとは何か?
慢性リンパ性白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫(SLL)は、血液のがんであり、Bリンパ球ががん化することによって発症します。これらは長期的な付き合いが必要とされる疾患で、進行が比較的遅いことが特徴です。初期には症状が現れないため、多くの場合は経過観察が行われますが、症状が進行するまで治療が行われないことが一般的です。
調査結果の概要
今回の調査は、薬物療法の経験がある患者とない患者それぞれに対する満足度を評価しました。薬物療法の経験がある患者の60%が治療全般に対して何らかの満足を示したのに対し、経験のない患者ではその割合は47%でした。この傾向は、点滴や注射による治療に対する満足度でも確認され、経口薬による治療の満足度(61%)が高いことが明らかになりました。
生活の質や経済的側面についての考慮も重要です。薬物療法の経験のある患者の49%は、日常生活への影響が少ない治療法を求めていました。一方、未経験者においては、日常生活の影響を最重要視している割合が非常に高いことが印象的です。
求められる治療の可視化
治療薬に対する希望を数値化すると、治療効果が47点、安全性が43点、その他の項目が10点という結果が得られました。特に治療効果においては、「病気前の生活を維持できること」が45得点をマークし、安全性の項目では「感染症が少ないこと」が43点と高評価を得ています。
さらに、外来での治療や治療期間の明確性が求められることも共通しています。薬物療法の経験有無に関わらず、外来治療が好まれる傾向が強く、より少ない通院が期待されていることが改めて確認されました。
調査の意義と声
新潟薬科大学の青木定夫教授は、「今回の調査を通じて、CLL患者は日常生活への影響が少ない治療法を切望していることが浮き彫りになった」と述べています。治療の進展により、生存率も改善しているものの、長期的な付き合いが求められるため、治療における負担軽減が今後さらに重要になってくることでしょう。
さらに、CLL患者・家族の会代表の斉藤治夫さんも、「患者自身が治療法を選択することが最も重要であり、そのためには希望や懸念を主治医にしっかりと伝え、納得できる治療を受けられるように求めていくことが大切です」と語っています。
調査手法と概要
本調査は、ヤンセンファーマ株式会社による実施で、調査期間は2024年10月から11月にかけて行われ、156名の患者を対象としました。調査方法はインターネットや郵送によるもので、インタビュー調査も併せて行われました。
本調査の結果は、慢性リンパ性白血病という疾患についての理解と、今後の治療方針のあり方を見直す際の貴重な参考資料となることでしょう。