フィリピンで新たな希望、3Dプリント義足の革新と挑戦

インスタリム株式会社は、フィリピンで世界初の3Dプリント義足事業に取り組んでいます。このプロジェクトは、慶應イノベーション・イニシアティブやディープコアからの総額8,400万円の資金調達により実現しました。従来の義足製作の高コストと長納期を解消し、必要な人々に義肢装具を届けるこの取り組みは、多くの人々の人生を変える可能性を秘めています。

社会課題の解決

従来、義足の製作には高額な費用がかかり、製作プロセスには数週間を要することが一般的でした。このため、新興国や開発途上国に住む多くの人々が義足を持たずに困難な状況に置かれています。フィリピンにおいても、約100万人が必要な義足を手に入れられないという状況が存在します。これは経済的な制約だけでなく、専門技術を持った義肢装具士の不足や製造設備の未整備が影響しています。

インスタリムのソリューション

インスタリムは、独自の3Dプリンタとアルゴリズムを駆使して、義肢装具製作専用のシステムを開発しました。このシステムにより、コストは従来の約10分の1に削減され、納期も大幅に短縮されます。現在、AIを活用した全自動モデリング機能の開発も進めており、さらなる効率化を図っています。実際に、フィリピン大学総合病院と協力して、3Dプリント膝下義足の実証実験を実施し、具体的な成果を上げています。

事業開始と未来の展望

実証実験が成功したことを受けて、インスタリムはフィリピンのメトロマニラにオフィスを設立し、商業的な販売活動を開始しました。これにより、さらに多くの人々に3Dプリント義足を提供できるようになります。また、新たな製品の研究開発も進め、より多様なニーズに応える体制を整えていく予定です。

代表者の情熱

インスタリムの代表、徳島泰氏は、この事業の背景には自身の海外協力隊時代の経験があると言います。フィリピンで多くの人々が義足を必要としている現実を目の当たりにし、自ら解決策を模索してきました。その情熱は、インスタリムのビジョン「必要とする全ての人に義肢装具を届ける世界」を実現する力となっています。

出資者の支援

慶應イノベーション・イニシアティブ代表の山岸氏やディープコアの仁木氏も、この取り組みを強力にサポートしています。彼らは、インスタリムの技術とビジョンが新興国における義足の普及を加速させることができると確信しており、今後の成長に期待を寄せています。

このように、インスタリムの活動はただのビジネスに留まらず、社会的な課題を解決する力を持っています。多くの人が新しい義肢装具を手に入れることで、以前よりも豊かな生活を送ることができる未来を目指し、インスタリムはその第一歩を踏み出したのです。今後の活動に対する期待感は高まるばかりです。