救急車と民間救急サービスの意識調査結果
一般社団法人OPHISが2025年10月に神奈川県川崎市で実施した意識調査が注目を集めています。この調査には1,030名の市民が参加し、救急車や民間救急サービスに対する認識や実態が明らかにされました。以下では、調査結果の概要を詳しく見ていきます。
調査の背景と目的
日本社会は超高齢化が進んでおり、救急車の利用件数は増加しています。実際、川崎市では令和6年中に救急出場件数が89,114件に達し、これは過去最多の数字となっています。この状況を受けて、川崎市では「消防機関の救急車に代わる転院搬送手段の調査」を掲げ、今回の市民調査が実施されました。
調査の主な目的は、市民の救急車利用に対する意識や認知、実際の利用状況を把握し、必要な情報や適切な救急搬送手段についての基礎データを収集することにありました。
調査結果のサマリー
1. 救急車利用の現状認識
参加した市民の約60%が近年の救急要請が増えていると認識しており、救急車を呼んだことがある人の20%が「本当に呼んでよかったのか迷いがあった」と回答していることが分かりました。このことから、実際に利用する際の判断に複雑さがあることが浮き彫りになりました。
2. 民間救急サービスへの期待
民間の救急サービスへの認知度は28.5%と比較的低いものの、「救急車の代替手段」という見方は75.1%に達しました。また、民間サービスの料金については約78.2%が1万円までの許容度を示しました。市民の中には、救急車を避けた場合の安心感を求める声も多くあるようです。
3. 有料化に対する意識
調査結果では、緊急性の低い搬送に関する有料化について、全体の80%が賛成意見を示しました。しかしながら、200万円未満の世帯収入層では33.3%が反対の意見を持っており、経済的な負担が障害となっていることが明らかになりました。
調査から見えた課題と展望
調査は全体として、市民の救急搬送に関する意識の向上を示す結果となりましたが、特に低所得層に対する配慮が求められることが強調されています。民間救急サービスを代替手段として利用するという考え方は広がりつつあるものの、その経済的負担が懸念材料です。
本調査の結果は、今後の救急搬送制度の改革に向けた貴重なデータとなり、川崎市のみならず全国の救急搬送体制の見直しに寄与することが期待されます。
まとめ
一般社団法人OPHISは、今後も市民の救急搬送に関する意識やニーズを把握し、より良いサービス提供の実現に向けて努力していくとしています。市民一人ひとりの声が、救急システムの進化につながることを願ってやみません。調査レポートは、以下のリンクからダウンロードできますので、ぜひご覧ください。
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今後もOPHISの活動に注目していきしょう。