横浜市はICTを使ったポンプの遠隔巡視を実施
横浜市水道局が、ポンプ場の遠隔巡視を目的とした実証実験に株式会社酉島製作所のTR-COMを採用しました。この実証実験は、技術者不足の問題解決に向けた重要なステップとされており、今後の維持管理体制に大きな影響を与えることが期待されています。
1. 実証実験の背景
横浜市内のポンプ場は、24時間365日稼働しており、市内で23箇所あります。現状では、職員が2人一組で1日1機ずつ目視点検を行い、安全性を確認しています。しかし、技術者の確保が困難となる将来的な課題が浮かび上がっています。特に、ベテラン社員が定年退職などで離職した場合、巡視体制への影響が懸念されています。そこで、ICT技術を用いた維持管理手法の確立が急務となっています。
2. 実証実験の概要
今回の実証実験では、TR-COMを利用してポンプの振動データを定期的に自動計測し、そのデータを執務室で確認します。この実験により、振動データからポンプの劣化兆候を判断できるかどうかを検証していきます。
3. TR-COMのソリューション
TR-COMは、回転機械向けのソリューションで、無線センサー(b-Monitor)を設置することで10kHzの高周波振動を測定し、故障の前兆となる初期の傷を捉えることが可能です。さらに、ゲートウェイ(t-Gateway)を活用することで、自動データ収集が可能となり、遠隔での維持管理を実現します。この技術の導入により、横浜市が抱える課題である技術者の減少問題を緩和し、持続可能な運営体制へと繋がると考えられています。
4. 今後の展開
実証試験の結果から、データ収集や巡視点検の負担軽減の効果を明確化し、今後横浜市が計画している他のポンプ場にもTR-COMの導入を提案していく予定です。また、同様の技術者不足の課題を抱える他の自治体にも、酉島製作所のソリューションを提供し、回転機械施設の維持管理への貢献を目指しています。
5. 試験場所の概要
実証実験は、横浜市保土ヶ谷区の仏向ポンプ場で行われます。ここでは5台のポンプが稼働しており、保土ヶ谷区と旭区の一部への水供給を行っています。一日平均配水量は約20,000m³にのぼります。
この実証実験が成功裏に進むことで、横浜市の水道管理の未来がより安全で効率的になることが期待されます。ICT技術の導入は、今後の水道事業に革命をもたらす可能性を秘めており、その進展が注目されます。