東レリサーチセンターと積水化学、二次電池評価での連携開始
2023年、株式会社東レリサーチセンター(TRC)と積水化学工業株式会社は、二次電池に関する評価試験を共同で進めるための覚書を締結しました。両社は、リチウムイオン電池や次世代電池の評価試験における技術的および商業的な側面を検討し、より高精度で信頼性の高い評価を顧客に提供することを目指します。この取り組みは、材料、機器、自動車業界、大学や研究機関を含む幅広い顧客のニーズに応え、サービスの向上や市場の新たな開拓に寄与することが期待されています。
1. 背景
カーボンニュートラルが叫ばれる現代、エネルギーや産業の構造転換と新技術の創出が急務とされています。特に自動車産業では、電動車両の普及が重要です。電気自動車やハイブリッド車、さらには燃料電池車の普及が進んでおり、これに関連してリチウムイオン電池の開発も加速しています。近年は全固体電池の開発が進んでおり、これによりさらなる安全性とエネルギー密度の向上が期待されています。これらの技術革新が実現すれば、電動車の普及がより促進されることでしょう。
TRCは、先進的な分析・解析技術を提供するリーディングカンパニーとして知られています。特にリチウムイオン電池の分野においては、電極材料の研究や電池性能の分析において重要な役割を果たしています。全固体電池など次世代電池の材料に関しても、高度な分析力を駆使し、研究開発を支援してきました。
積水化学は、2016年から住宅用のリチウムイオン電池ビジネスを展開しています。2021年からは、充放電試験や安全性試験を通じて技術開発を支援する事業にも着手しており、顧客の製品設計や開発を包括的に支援しています。
2. 連携の内容
今回の連携によって、TRCの分析技術と積水化学の電池関連の技術が融合し、既存及び次世代の電池分析・評価の精度が向上することを目指しています。さらに新たな評価技術も見据えた取り組みが行われます。具体的には、安全性試験の計画から実施、解析まで幅広く対応し、評価中に発生するガスの詳細な分析を行う見込みです。これにより、従来の試験結果だけでなく、反応メカニズムの理解に必要なデータも提供されることでしょう。
両社は今後も持続可能な社会の実現に向けて取り組みを進める方針です。新たな技術革新を通じて、社会全体への貢献を目指す姿勢が求められています。今後の展開に注目が集まります。
ご参考
TRCの概要
- - 設立: 1978年
- - 所在地: 東京都中央区日本橋本町一丁目7番2号
- - 事業内容: 半導体、ディスプレイ・電池、材料、環境、ライフサイエンスなどの受託分析や技術開発支援を行っています。
積水化学の概要
- - 設立: 1947年
- - 所在地: 大阪市北区西天満2丁目4番4号
- - 事業内容: 4つの事業セグメントを中心に、イノベーションを通じてサステナブルな社会の実現に向けた製品・サービスを提供しています。