nCinoが示す銀行業界の未来
2025年5月、米ノースカロライナ州ウィルミントンで開催されたnCinoの年次カンファレンス「nSight 2025」で、AIを搭載した新たなバンキングソリューションが発表され、参加者たちから大きな注目を集めました。nCinoはクラウドバンキングソリューションを提供し、金融機関が顧客対応を迅速かつ的確に行えるようサポートする企業です。
新たなCEOであるショーン・デズモンドは基調講演で、nCinoの進化を「ワークフロープラットフォームの先駆者から、グローバルなデータとインテリジェンスのリーダーへ」と述べました。この言葉には、金融業界における新たな時代の到来を示唆する意味が込められています。
デズモンド氏は、「金融機関が直面する課題は変わらないが、AIの進化がそれを変革するスピードを速めている」と語り、nCinoのAI機能がどのように金融機関の競争力をサポートするかについて説明しました。特に、生成AIソリューション「バンキングアドバイザー」が業務のフローを効率化し、銀行員がより顧客対応に集中できる環境を整えることができると強調しました。
nCinoの新機能とその影響
新たに発表された機能は多岐にわたりますが、中でも注目すべきは「信用モニタリング」や「即時見積もり」、オンボーディング機能の強化です。信用モニタリングは、リスクのある取引を早期に特定し、問題を未然に防ぐことを目的としています。一方、即時見積もり機能では、銀行員が数秒で自動車ローンの見積もりや支払い計算を行えることから、顧客へのサービス提供が迅速になるでしょう。
製品開発の投資をAIエージェントの導入にシフトすることで、業務の再構築と自動化を支援し、顧客体験を高めていくことにも力を入れています。特に中小企業から大企業まで、リアルタイムデータ取得による効率的なオンボーディング機能の強化にも期待が寄せられています。
実績の数々
nCinoがこれまでに達成したビジネスの実績も注目に値します。法人融資では新規取引が数か月から数日に短縮され、文書処理においては74%の時間削減を実現しました。また、個人ローンの口座開設時間が30分から数分に短縮され、顧客の離脱率も低下。中小企業向け融資の審査スピードが62%向上したことも報告されています。
nCinoリサーチ・インスティチュートの設立
さらに、nCinoは「nCinoリサーチ・インスティチュート(nRI)」を設立し、経済動向の分析や業界ベンチマークデータを提供することを発表しました。この取り組みは、nCinoの顧客が不確実な経済環境下でも成果を上げられるように支援することを目指しています。
nSightカンファレンス
nSightは、世界中の金融業界のリーダーや専門家が集まる年次グローバルカンファレンスです。参加者は最新の技術トレーニングや業界知見を得るとともに、ネットワーキングの機会を享受します。これらの取り組みが、金融業界のさらなる進化を促進し、顧客の期待に応えることでしょう。
まとめ
nCinoが提供する次世代のAIバンキングソリューションは、金融機関の業務プロセスを根本から変革し、効率性と顧客体験の向上を図る強力な武器となることでしょう。今後の展開から目が離せません。