サッポロビール株式会社の価値創造フロンティア研究所に所属する實方綾子研究員が、公益社団法人日本農芸化学会より「2026年度農芸化学女性企業研究者賞」を受賞しました。この授賞式は2023年3月9日、京都で行われ、サッポロビールにとって初の快挙となりました。受賞の理由は、「ホップ品種の特有香に寄与する香気成分とその相互作用に関する研究」であり、特に育種したソラチエースを研究対象としたことが高く評価されました。
ソラチエースは1984年にサッポロビールが開発した日本発のホップで、シトラスやウッディ、ハーブの風味を持つビールを生み出します。本研究では、その特有の香りを形成する香気成分の探索とメカニズムの解明が進められました。特に、ゲラン酸という成分は、香りは持たないものの、他の香気成分の香りを強める特性が発見され、ソラチエースの香りの重要な要素であることがわかりました。
研究チームは、ゲラン酸の発見を通じて「香りがない成分も実は香りの形成に寄与する」という新たな視点に立った研究を行っています。また、ソラチエースは他のホップ品種とブレンドすることで、各種ホップの特長を活かした香りのビールを実現できることも判明しています。この発見は今後の商品開発にも大きな影響を与えることでしょう。
受賞式を終えた實方研究員は、その喜びを語ります。「ソラチエースの香りに魅了され、香気の鍵となる成分を見つけることができました。ゲラン酸の発見は、従来の常識を覆すもので、私たちの研究の可能性を広げます。受賞を励みに、引き続きホップの香り研究を進め、より良いビールを作っていきます」と語っています。
今後、サッポロビールはこの研究成果を活かし、製品開発や香味設計においてホップの香気理解を深めていく意向を示しています。また、農芸化学女性企業研究者賞は、農芸化学分野で顕著な成果を上げた女性研究者に授与されるものであり、實方研究員の受賞は、女性の活躍を広げる重要な一歩ともいえるでしょう。
今後もサッポロビールは、科学的なアプローチを通じて、新たな香りのビールを創り上げるために、多角的な研究を続けることが期待されます。これは単にビールの品質向上だけでなく、バイオサイエンスの領域でも貴重な知見を提供することに繋がります。日本のビール市場のさらなる発展に寄与することが期待されます。