京セラが海中作業の無人化と効率化を支える無線通信技術を開発

京セラの海中無線通信技術とは

1. プロジェクト概要

京セラ株式会社は、国立研究開発法人科学技術振興機構（JST）が推進する「経済安全保障重要技術育成プログラム」に採択されたことを発表しました。このプログラムは、日本が国際社会での地位を強化するために必要不可欠な先端技術の研究開発を支援することを目的としています。

具体的には、2024年度第4回研究開発課題として「海中作業の飛躍的な無人化・効率化を可能とする海中無線通信技術」に対して、特に洋上風力発電設備の設置や保守作業の無人化に向けた技術が開発されます。この技術が実現すれば、海洋での作業がより安全で効率的に行えるようになると期待されています。

2. 技術の種類

本プロジェクトでは、二つの主要な技術が研究されます。ひとつは「エリア構築型」で、もうひとつは「遠距離トラッキング型」です。

2.1 エリア構築型

「エリア構築型」は、浅海域で使用できる可視光LEDを利用した水中セルラ光無線通信技術の研究を行います。この技術の鍵となるのは、光通信チャネルモデルの構築です。具体的には、シングルおよびマルチアクセスポイントを使ったシステムの開発や、環境影響評価、航路制御の研究などが進められます。目指すのは、外的要因に対する影響を最小限に抑えつつ、沿岸域での安定した双方向通信を実現することです。

2.2 遠距離トラッキング型

もう一方の「遠距離トラッキング型」は、GaN系レーザーを用いた海中無線通信技術の研究です。この技術は、高解像度映像をリアルタイムで安定して通信することを可能にします。こちらも光通信チャネルモデルの確立や遠距離トラッキング技術の開発が進められ、通信機の実用化を目指す基礎研究が行われます。これにより、大陸棚での安定した通信が実現されることが期待されています。