アクポニが新たな試みを開始
株式会社アクポニが神奈川県藤沢市のアクアポニックス農園で、国内でもニーズの高いバナメイエビの養殖試験をスタートしました。このプロジェクトは「アクアポニックスで人と地球をHAPPYに」というビジョンに基づいており、エビと植物の融合によって持続可能な農業を実現することを目指しています。
アクアポニックスとは?
アクアポニックスは、水耕栽培と水産養殖を組み合わせた新しい農業の形です。魚、微生物、植物が一つの生態系の中で共生し、無農薬・無化学肥料・無除草剤の環境に配慮した生産方法が特徴です。土耕農法と比べて、同じ面積で約7倍の生産量が得られるほか、80%以上の節水が可能なため、近年注目を集めています。
養殖試験の目的
今回の養殖試験では、汽水を利用してバナメイエビを育て、その水を野菜ベッドに循環させる仕組みを導入。耐塩性の高いスイスチャードや多様なハーブを同時に育てることで、エビと植物の共生効果を測定します。これは、エビ養殖に伴う環境負荷を軽減しながら、国内で供給されるエビの生産を増やすことが期待されています。
実証実験の詳細
アクポニの自社農園で行われるこの実験は、2024年9月末まで予定されています。システムは薄膜型水耕法を用いており、最大で600尾のバナメイエビと300株の野菜を同時に育成できる環境を整えています。IoT技術を使用した「アクポニ栽培アプリ」により、エビと野菜の生育データを集約し、より効率的な養殖と栽培が可能になる仕組みです。
環境負荷を抑えるアクアポニックスの強み
アクポニによると、従来の陸上養殖ではエサの窒素が約88%も廃棄されていましたが、アクアポニックスではその窒素を約99%も有効活用できることが過去の研究で明らかになっています。また、使用する水の量は通常の養殖の約3分の1で済むため、全体的な資源のリサイクルが実現されるのです。これにより、環境に優しく持続可能な農業モデルを提供できます。
国産エビと野菜の同時生産
近年、日本における食料供給の不安が高まる中、国産のエビを含む水産物の養殖は喫緊の課題となっています。エビと野菜を同時に生産することで、消費者が新鮮で安心な国産品を手に入れる機会が広がることが期待されています。また、アクポニでは排水をせずに水を循環させるため、山間地域でも養殖が可能になり、新たなビジネス展開が見込まれます。
未来のビジネスモデル
今回のプロジェクトは、アクアポニックス技術の普及に向けた大きな一歩です。今後は、工場の余熱や再生エネルギーを活用したエビ養殖、バーベキュー場の併設など、多彩なビジネスモデルの構築も視野に入れています。アクポニは、持続可能な未来を見据えた循環型農業の確立に取り組んでいます。アクアポニックスが普及することで、消費者はより気軽に健康的な国産の食材を楽しむことができるでしょう。
まとめ
アクポニによるバナメイエビの養殖試験は、持続可能な農業の実現に向けた新たな挑戦です。エビ養殖の実用化は、環境負荷の削減だけでなく、日本の食文化を豊かにし、輸送コストの低減にも貢献します。アクポニの取り組みに期待が高まります。