持続可能な社会への提言
2024年のブループラネット賞(地球環境国際賞)受賞者記者会見が、東京都千代田区にある経団連会館で開催されました。今年の受賞者には、「生態経済学」を創設したロバート・コスタンザ教授と、政府間組織IPBESのアン・ラリゴーデリー事務局長及びルサンド・ディジバ博士が選ばれました。彼らは、生態系サービスと生物多様性についての深い見識をもとに、持続可能な経済活動への重要な提言を行いました。
受賞者の言葉
コスタンザ教授は、環境問題への取り組みについて、「有限な地球資源を賢く利用し、経済の成長だけでなく、持続可能なウェルビーイングの未来を追求することが重要です。これは全ての経済活動におけるパラダイムシフトを求めるものです」と述べました。彼はまた、生態系サービスの重要性を再評価し、それが人間社会に帰属する価値であることを強調しました。
一方、IPBESのラリゴーデリー事務局長は「私たちが発表する評価報告書では、生物多様性を回復するための科学的な指針が明記されています。しかし、この実施のペースはまだ遅く、政府の各省庁が連携して取り組む必要があります」と語りました。彼女の言葉は、現状の取り組みの不十分さを浮き彫りにし、各国での協力の必要性を説いています。
地球に関する挑戦
また、ディジバ博士は「地球環境にかかわる数字を見て、どこに変革のチャンスがあるかを可視化していくことが重要です。野生種の減少や土地利用の拡大などの問題に直面し、今後の人間社会にどのような影響をもたらすかを深く評価していきたいです」と発言しました。地球を守るための行動が急務であることを示唆しています。
次世代へのメッセージ
コスタンザ教授は、日本の学生や研究者たちに向けて、「みんなが平等に暮らす未来を実現するため、私たちの行動が必要です。SDGsなどポジティブなビジョンを持ち、未来を担う世代として行動を起こしてほしい」と訴えかけました。これに対し、ラリゴーデリー事務局長は「行動を起こすことに遅すぎるということはありません。簡単な行動でも、環境への良い影響をもたらすことができます。IPBESも知識を提供し続けます」と、具体的な行動を促しました。
今後の予定
今後、ブループラネット賞の表彰式は10月23日、東京會舘で行われ、その後10月24日、東京大学、10月26日、京都大学で記念講演会が予定されています。環境問題に真剣に取り組む彼らの話を聞く貴重な機会です。ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
受賞者プロフィール
ロバート・コスタンザ教授
米国オーストラリア生まれで、1997年に生態系サービスの経済的価値がGDP総額を超えることを実証しました。持続可能な未来に向けた新たな学問領域「生態経済学」の代表的な学者です。
IPBES(イプベス)
設立は2012年。生物多様性や生態系サービスに関する国際的な科学的知見を集約し、政策提言に活用することに努めています。企業のESG活動にも大きな影響を与えています。
ブループラネット賞について
この賞は、地球環境問題への会費とその解決に寄与した個人や団体を称えるもので、91年の地球サミットに続いて設立されました。人類の財産である青く美しい地球を未来に残したいとの願いが込められています。