東京オフィス市況報告 2024年第2四半期
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)が発表したレポートによると、2024年第2四半期末の東京のオフィス市況は興味深い動向を見せています。この時期、都心5区グレードAオフィスの需要が供給を上回る状況が続き、空室率は低下しました。しかしながら、供給の変化に伴い、空室率は次第に上昇する見込みです。
需給の状況
2024年第2四半期末の都心5区において、グレードAオフィスの年間ネットアブソープションは約118千坪に達し、新規供給が減少したことにより前年同期比で4.3%減となりました。さらに、募集面積率は前年同期比で1.3ポイント低下し5.6%となり、空室率も前年同期比0.5ポイント低下し4.0%と好調です。特筆すべきは、都心5区のサブマーケットの35エリアのうち23エリアが空室率2%未満という低水準に留まっている点です。
テナントの移転動向も注目されており、企業の拠点集約やグレードB以下からのグレードアップ移転が多く見られます。また、顧客のニーズに応えるため、テナント専用のラウンジの設置が進む傾向にあります。
賃料の傾向
都心5区のグレードAオフィスの平均想定成約賃料は前年同期比で2.8%上昇し、35,267円となっています。これは募集賃料の上昇幅を上回る結果であり、空室面積が減少している物件が多く見られるため、実際の成約も賃料に即した水準で進む傾向が強まっています。
一方で、新橋・汐留エリアや虎ノ門・神谷町エリアでは、外資系テナントがオフィス面積を減少させた影響から賃料が下落している地域も存在します。特に虎ノ門・神谷町エリアでは、過去4年で新規供給の影響により、グレードAのオフィスストックが大幅に増加しています。
今後の展望
2024年第2四半期の空室率は供給に連動して上昇する見込みで、需給は依然としてタイトな状況が続きます。しかし新規供給の増加に伴い、2025年には空室率が5%台へと上昇する予想です。それに伴い、各サブマーケットにおける需給の動向は異なるため、各エリアにおける競争の激化が考えられます。
賃料については、名目賃料が2%程度の年次上昇が継続するとみられます。両者の動向を見極めることで、企業は有利な賃貸契約を模索する必要があります。特に競合が激しい地域では、柔軟な賃貸条件やテナントの負担を軽減する施策が求められるでしょう。
C&Wについて
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