STマイクロエレクトロニクス、新マイコン「STM32U3」を発表
世界的な半導体メーカーであるSTマイクロエレクトロニクス(ST)は、最新の超低消費電力技術を駆使した新しい汎用32bitマイクロコントローラ(マイコン)、「STM32U3」を発表しました。この新製品は、遠隔地でのIoT機器の導入を可能にし、電力効率の新しい基準を打ち立てることが期待されています。
IoT機器に最適化された設計
新しいSTM32U3は、コイン電池や太陽光、熱電源といった持続可能なエネルギー源を利用し、長期間の運用が求められるIoT機器向けに設計されています。特に電力・ガス・水道メータや医療機器、産業用センサなど、信頼性が求められるアプリケーションに適しています。さらに、スマートウォッチやウェアラブルデバイスといった消費者向け商品にも利用されるでしょう。
STの汎用マイクロコントローラ事業部のジェネラルマネージャー、Patrick Aidoune氏は、「STM32U3シリーズは、超低消費電力の技術を基盤として、デジタル制御技術の普及を促進します」と述べています。このように、革新的な技術の活用により、従来製品の2倍の電力効率を実現しています。
強化されたサイバーセキュリティ
STM32U3シリーズは、優れた電力効率に加えて、先進のハードウェアセキュリティ技術を搭載しており、IoT機器のセキュリティニーズに応えています。秘密鍵はセキュアなメモリ内に保持され、製造段階での構成証明によってセキュリティが強化されます。このような設計により、セキュリティを一層強固にし、プロビジョニングを簡素化します。
製品はSESIP3およびPSA Level3認証を取得しており、今後の欧州無線機器指令(RED)や欧州サイバーレジリエンス法(CRA)への適合が進められています。
実際の活用事例
smaXtec社のプロダクト開発エンジニア、Manuel Frech氏は、「STM32U3により、当社の動物健康モニタ用ハードウェアを次の段階に引き上げることができました」と説明します。アクティブモードでの電力消費が非常に低いため、電力効率を向上させながら新機能の追加が可能です。
先進的な技術と仕様
STM32U3は、最新のArm® Cortex®-M33コアを搭載し、最大96MHzで動作します。この先進的な設計により、市場でリーダブルな117という電力効率のスコアを達成しました。これは従来のSTM32U5シリーズの約2倍、STM32L4シリーズの5倍に相当します。
総じて、STM32U3シリーズは最小動作電力が10µA/MHz、そして、1.6µAという極めて低いSTOP電流で設計されています。これにより、電力消費を徹底的に抑制しながらも、最大1MBのデュアルバンクFlashメモリと256kBのSRAMを装備しています。
米国特許商標庁に登録されたブランド「STM32」は、STMicroelectronicsの登録商標および未登録商標です。詳細については、STの公式ウェブサイトで確認できます。
STマイクロエレクトロニクスの目指す未来
STマイクロエレクトロニクスは、約50,000名の専門家が集結した企業で、サステナブルな社会を支える半導体ソリューションの開発に注力しています。再生可能エネルギーの使用率100%を計画し、カーボンニュートラルの達成に向けて進んでいます。今後も、同社はIoT時代に適応した次世代技術の提供を続けています。