AI音声合成サービス『コエステーション』がバス放送を変革
株式会社エーアイは、AI音声合成サービス『コエステーション®』を使用して、川崎鶴見臨港バスの新しいバス車内放送システムを実現しました。2025年6月から本格運用が開始されるこのシステムは、全国初のWebを利用したバス車内放送広告販売も可能にします。これにより、臨港バスが運行する333両すべての車両で効率的かつタイムリーなアナウンスが行われ、利用者には新たな情報提供が期待されます。
新システムの概要と開発背景
新しいバス放送システムは、臨港バスをはじめ、クラリオンライフサイクルソリューションズ株式会社、株式会社ケイエムアドシステムとの共同開発により生まれました。テーマは「バスの車内アナウンスをもっと自由に、もっと手軽に、もっと使いやすく」というもので、技術指導は日本バス情報協会の伊藤昌毅氏が担当。実証実験を経て、従来のオンデマンド方式では実現できなかった機能が加わりました。
具体的には、アナウンスの完全オンライン化、リアルタイムな広告更新、さらにはバス車内での広告販売をECサイトとして展開します。これにより、バス運営側の負担が軽減され、広告主にとっても利便性が大幅に向上します。
利便性の向上
従来のシステムでは、スタジオで事前収録した音声をそれぞれのバスに手作業で注入する必要がありました。この手作業は時間を要し、頻繁に更新が難しいことが課題とされていましたが、新システムは専用サーバーにより、リアルタイムで音声や情報を更新可能です。このようにして、バスの運行情報をもとにした最新のアナウンスが実現したのです。
さらに、AI音声合成によるナレーションの切り替えが行われ、その結果、滑らかで自然な音声が提供されます。これにより、バス内での情報伝達がスムーズになり、乗客の利便性も向上。お客様に必要な情報を瞬時に届ける未来が実現しつつあります。
Web広告販売の革新
新システムのもう一つの特徴は、Webを介してのバス車内放送広告販売です。これまでのバス広告は年間契約が主流で、様々なマーケティングニーズに応えることが困難でしたが、今回のシステムでは広告の放送タイミングや時間帯を自由に設定できるようになりました。加えて、AIによって音声をその場で生成・確認できるため、広告主としての自由度が格段に向上しています。
課題解決ではなく新たな価値を生むこのシステムにより、出稿クライアント数が増加し、広告収入の拡大が期待されます。実際に、広告申込用のECサイトも開設され、ビジュアル的にもユーザビリティの良い構成が確認できます。
今後の展望
AI音声合成技術の進化により、バス業界での情報提供が一新される時代が到来しました。乗客にとっては、必要な情報をリアルタイムで得られる利便性が、またバス会社にとっては効率的な運営が可能となります。エーアイは、今後もこの分野での技術革新を続けていく意向を示しており、バス業界の未来を切り開く切り札となることでしょう。私たちの生活を支える重要な交通手段であるバスが、どのように変化していくのか目が離せません。