日本のソーシャルセクターに革新をもたらす「複利思考」
2026年3月27日、一般財団法人夢投資財団がオンラインで開催した「ハーバード社会事業大会 帰国報告会」では、代表理事の田辺大氏が、米国ハーバード大学での学びを基に、日本のソーシャルセクターが抱える課題とその解決策である「複利思考」を提案しました。この会議には28名の参加者が集まり、持続可能な社会の実現に向けた熱い議論が交わされました。
1. 現状の課題
日本のソーシャルセクターは、助成金や委託事業が毎年リセットされる単年度主義の影響で発展が阻まれています。この構造により、蓄積された知見や人脈が消失し、若者の参入も難しくなっていると田辺氏は指摘します。こうした背景から「複利思考」という新たなアプローチが生まれました。
2. 複利思考とは
「複利思考」は、金融における複利の概念を人や社会に応用したものです。短期的な利益を追求するのではなく、時間をかけて社会的価値を増幅していく考え方です。失敗を恐れず、小さな改善を続け、最終的に大きな変革を生み出すことを目指します。田辺氏は、現場での努力が報われるためには、時間を味方にする仕組みが必要であると強調しました。
3. フライホイール効果の活用
田辺氏はまた、借り物ではあるが、アメリカのAmazonが実践する「フライホイール効果」を例に挙げました。このモデルは、低コスト構造からスタートし、それを武器にして顧客体験を向上させ、最終的にさらなる成長を促す循環を作り出します。日本のマザーハウスのビジネスモデルも、フライホイール効果がいかに社会に貢献できるかを示す良い例です。
4. 参加者からの気づき
帰国報告会では、参加者から「社会的価値が複利的に増える仕組みが重要だ」との意見が寄せられました。加えて、営利企業では感じづらい「健全な負債感」がもたらす社会的恩返しの重要性が語られました。
5. 今後の展望
夢投資財団は、公益信託制度の改正やファミリーオフィスの活用により、非営利セクターが中長期の資金循環を実現できる新しい枠組みを模索しています。また、オンライン学習プラットフォームUdemyにて、社会起業家向けのコースの開設を計画しているほか、「複利思考」をテーマとした書籍の出版も進めています。
6. 結論
田辺氏の言葉を借りるなら、「複利思考」は、単年月での区切りを超え、持続的な社会的価値の創造を目指すものです。夢投資財団が提唱する「応援投資」は、未来への明確なビジョンを持ち、その実現に向けた具体的な行動を促す哲学です。この考えに賛同する多くの人々が集まり、より良い社会の実現に向けて動き出すことが期待されます。