日本企業のSDGs取り組みと環境活動
毎年4月22日はアースデイ、地球環境の保全を訴える特別な日です。この日を迎える度に、環境問題への関心が高まる中、企業がどのように持続可能な社会に貢献できるのかが問われています。特に製造業やインフラ業は、その事業活動が環境に与える影響が大きく、私たちの社会において重要な役割を果たしています。
NSSスマートコンサルティング株式会社は、製造業、建設業、運送業、さらには廃棄物処理業における環境活動やSDGsへの取り組みを調査しました。この調査は605企業の経営者及び環境部門担当者を対象に実施され、多くの企業が環境問題に対してどのように認識し、行動しているのかが浮き彫りになりました。
調査結果の概観
調査の結果、環境問題やSDGsに積極的に取り組んでいる企業は72.4%に達し、特に『積極的に取り組んでいる』と回答した企業も約32.8%存在しました。これには、企業のブランド価値が低下するリスクや法規制への対応が遅れることなど、取り組まないことによるリスク意識が影響していると考えられます。特に、企業のブランド価値の低下を53.6%の企業が懸念しており、そのために環境活動は経営戦略の一部として位置付けられるようになってきました。
一方で、まだ取り組みを行っていない、また今後も予定がないという企業も一定数存在し、その理由には『費用対効果が不明』や『取り組むメリットが見えない』などの声が聞かれました。特に中小企業の場合、リソースの制約や情報不足から、環境課題に取り組む意欲が未だに低い状況です。
環境活動への具体的取り組み
環境活動に積極的な企業は、CO₂排出削減、廃棄物の削減、再生可能エネルギーの導入といった具体的な取り組みを進めています。特に廃棄物削減やリサイクルは、業界を問わず多くの企業が最優先としています。これらの取り組みは、特に業務を行う上で重要な要素となるため、実行可能性が重視されていることが見受けられます。例えば、運送業では取引先の要請や社内の環境意識を高めることで、環境問題への取り組みが進んでいます。
取り組みの評価体制
企業がどのように環境活動を評価しているかについても注目すべきです。調査によると、社内アンケートや社員の声といった定性的な評価方法が54.8%、CO₂排出量などの数値で管理する定量的な方法が53.6%でほぼ同率でした。この結果から、社員の声を反映した運営が求められていることが伺えます。しかし、取り組みの効果を測ることの難しさを感じている企業も多く、9割以上が「効果測定がわかりづらい」と回答しています。
環境認証の必要性
さらに、環境関連認証の取得についても、経営者たちはその必要性を感じています。調査の中で、ISO14001やSDGs関連の認証を取得している企業が多く、これは単に義務ではなく企業戦略としての意義を持つようになってきています。環境リスク管理や法規制への対応、そして社内の環境意識向上など、さまざまな理由で認証取得を目指しています。
業種に応じた優先課題
環境問題への取り組みは、業種ごとに優先すべき課題も異なるようです。製造業では廃棄物の削減、建設業では水資源の保全、運送業では温室効果ガス排出削減が重要視され、その業界に応じた具体的な課題が浮き彫りとなりました。これにより、企業は業界特有の課題に対しても積極的に取り組む必要があることが示されています。
まとめ
日本企業のSDGsに関する取り組みは、現状では一定の進展が見られるものの、多くの企業が取り組みの深さにおいてばらつきが見受けられます。特に中小企業においては、そのリソースの制約が様々な課題を引き起こしており、費用対効果に対する不安が取り組みの壁となっています。今後は、業種ごとに求められる環境課題に対して、持続可能な経営の実現が求められています。企業は国際規格を取り入れ、実行可能で評価できる仕組みを構築することで、真の持続可能な社会の実現に向けた一歩を踏み出すことができるでしょう。