虐待経験者の職場環境:後遺症を抱えながら働く現実、支援の必要性を明らかに
株式会社RASHISAが実施した「虐待経験者の職場環境と就業状況に関するアンケート調査」の結果が発表され、虐待経験者の職場環境における課題が浮き彫りになりました。本調査は、虐待経験者147名を対象に、職場環境や就業状況についてオンラインアンケートを実施したものです。
就業状況:正規雇用はわずか2割、3割は就業していない
調査結果によると、回答者の約3割は現在就業しておらず、正規雇用はわずか2割にとどまりました。非正規雇用が約3割、就労継続支援事業所や就労訓練中、自営業など、様々な就業形態が見られました。
後遺症:半数以上が複雑性PTSD、複数の症状を抱えるケースも
虐待経験者の多くは、後遺症として複雑性PTSDを抱えており、回答者の約半数が診断を受けていました。さらに、ADHD、ASD、発達性トラウマなど、複数の症状を抱えるケースも多く見られました。特に、自覚症状がないと回答した人は11%おり、潜在的な問題を抱えている可能性も示唆されました。
職場での困りごと:人間関係とメンタルヘルスの問題が深刻
職場での困りごととして、「人間関係の問題」が79.6%、「メンタルヘルスの問題」が68%と、高い割合を占めました。虐待経験者は、自己評価が低く、人付き合いが不安、ストレス耐性が低いといった傾向が見られ、職場でのコミュニケーションや人間関係に困難を感じていることが分かりました。
職場へのカミングアウト:支援を受けたのはわずか7%
職場に虐待経験を打ち明け、支援を受けられた人は全体の7%にとどまりました。多くの人が、昇進や昇給に影響が出る可能性や、理解されずに精神的なダメージを受けることを恐れ、悩みを一人で抱え込んでいる現状が明らかになりました。
企業に求められる支援:メンタルヘルス対策と相談しやすい環境
企業は、虐待経験者の特性を理解し、適切なサポートを提供することが重要です。調査結果から、メンタルヘルスサポート、人間関係の改善、ワークライフバランスの改善などが求められています。具体的には、産業カウンセラーなどの第三者に相談できる仕組みの導入、障害に対する理解と知識の普及、柔軟な働き方の実現などが挙げられます。
RASHISAの取り組み:合理的配慮ハンドブックの制作
RASHISAは、虐待経験者の働きやすさを支援するため、「虐待サバイバー向け合理的配慮ハンドブック」を制作中です。本ハンドブックは、虐待経験者の特性や職場環境における配慮すべき点、具体的な対応策などをまとめたもので、企業が虐待経験者を雇用する際の指針となることを目指しています。
今後の展望:働きやすい社会の実現に向けて
RASHISAは、今後も虐待経験者の雇用創出と働きやすい環境づくりに取り組んでいきます。虐待経験者は、社会の一員として活躍できる潜在能力を持っているにも関わらず、様々な困難に直面しています。企業は、虐待経験者の抱える課題を理解し、積極的にサポートすることで、働きやすい社会の実現に貢献できるでしょう。