不適切なM&A取引に関する注意喚起
近年、中小企業におけるM&Aは増加傾向にありますが、それに伴い不適切な取引も増えてきています。このような背景を受けて、一般社団法人M&A仲介協会は、中小企業経営者が直面するリスクを軽減するための対策を講じています。具体的には、株式会社日本M&Aセンターが幹事会員として参加しているこの協会は、不適切な譲受け事業者に対する取り組みを強化し、経営者の皆様に適切なM&A取引の重要性を促しています。
不適切な譲受け事業者とは
不適切な譲受け事業者とは、譲渡企業の経営権を取得した後、経営者の個人保証を解除せずに企業の財産を抜き取り、そのまま事業を放置したり失踪したりするような事業者を指します。このような事業者による影響を受けると、譲渡した中小企業は経営難に陥る可能性が高まります。これに対してM&A仲介協会は、こうした不適切な業者の情報を業界内に共有し、事業者のリスクを減らす方針を打ち出しています。
M&A仲介協会の取り組み
M&A仲介協会の設立は2021年10月に遡り、その目的は公正かつ円滑なM&A取引を推進するとともに、業界の健全な発展に貢献することです。現在、会員数は129社を数え、年に約2,200件のM&Aを支援しています。また、業界内における倫理規程を設け、広告や営業、契約に関する重要事項の説明についてのルールも策定しています。これにより、経営者保証が解除されないリスクについての理解を深め、不適切な取引を未然に防ぐことを目指しています。
特に、2024年10月からは不適切な譲受け事業者の情報を収集する「特定事業者リスト」の運用を始め、より多くの情報を業界内で共有していく方針です。
中小企業経営者へのお願い
現在、M&Aを検討している中小企業の経営者の皆様に対し、M&A仲介協会が定めた基準を遵守している仲介業者を選ぶことが重要です。この基準を守っている業者を選ぶことで、不適切な取引から自身の企業を守ることができます。
また、危険な事例や不適切な業者に関する情報を知った際には、M&A仲介協会の苦情相談窓口までご連絡ください。この窓口では、会員による問題報告や相談を受け付けており、迅速な対応が期待できます。具体的な窓口情報は以下に記載しております。
苦情相談窓口
まとめ
不適切なM&A取引は中小企業にとって大きなダメージを与える可能性があります。M&A仲介協会は、このような取引を未然に防ぐため、様々な対策を講じています。経営者の皆様には、慎重かつ適切な判断をお願いしたいと思います。相手の信頼度や業者の実績を確認し、安心してM&Aを進めていくための行動を心がけましょう。