クニエ、EUサステナビリティ開示規制「CSRD」対応支援サービスを開始
コンサルティングファームの株式会社クニエ(NTTデータグループ)は、2024年6月26日より「CSRD対応支援サービス」の提供を開始しました。
欧州連合(EU)で2024年1月に施行されたサステナビリティ開示規制「CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive:企業サステナビリティ報告指令)」は、企業が事業活動によって社会や環境に与える影響を把握し、定期的に情報開示することを義務付けています。この規制は、早ければ2025年度にはEUで一定規模以上の事業を行う日本企業にも適用される予定であり、CSRDに沿ったサステナビリティ情報開示への対応は、今後ますます重要性を増すでしょう。
クニエが提供する「CSRD対応支援サービス」は、クニエとNTTデータスペインのサステナビリティ専門家が協力し、CSRDに基づく現状分析から行動計画策定まで、対応プロセスを3つのステップで包括的に支援します。これにより、日本企業はCSRDが求める情報開示基準に基づいた情報の整備・改善を行い、EUが定めた期限内にコンプライアンスを実現できます。
背景:グローバル化するサステナビリティへの対応
近年、気候変動や人権侵害など、企業活動が社会や環境に与える影響が深刻化しています。EUは、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指す「欧州グリーンディール計画」を最優先課題として掲げ、その達成手段の一つとしてCSRDを導入しました。
CSRDでは、「横断的な基準」「環境」「社会」「ガバナンス」の4つのカテゴリーに合計12の基準(ESRS)が設定されており、対象となる企業はESRSに沿って定期的に情報開示を行う必要があります。さらに、「ダブル・マテリアリティ」の原則が規定されており、サステナビリティに関する事項が企業の業績や財務状況に与える影響だけでなく、企業活動が環境・社会・ガバナンスに与える影響についても開示を求められています。
EU域内でビジネスを行う企業は、その売り上げや従業員数などに応じて順次CSRDの対象となり、EUで一定規模以上の事業を展開する日本企業も、適用開始までに情報開示の準備を進める必要があります。
サービス内容:3つのフェーズで包括的にサポート
クニエの「CSRD対応支援サービス」は、「ダブル・マテリアリティ分析」「CSRDギャップ分析」「行動計画策定」の3つのフェーズで構成されています。
1. ダブル・マテリアリティ分析
CSRD対応の最初のステップとして、企業活動が人、社会、環境に与える影響(インパクト・マテリアリティ)と、社会、環境などが企業の財務状況に与える影響(財務マテリアリティ)を分析し、整理します。インタビューやアンケートなどを通した情報収集に基づき、関連するステークホルダーの特定、影響の特定、リスクと機会の特定などを実施することで、開示すべきサステナビリティ情報の分析を行います。
2. CSRDギャップ分析
ESRSの12の基準をマッピングした上で、現行の非財務情報開示報告とCSRDで求められる非財務情報開示報告のギャップを、NTTデータスペインが開発した「CSRD Gap Analysisツール」を用いて可視化します。同ツールは、基準とのギャップ特定だけでなく、情報開示のためのガイダンス、ギャップ分析結果に基づく改善点の特定、データソースの管理など、サステナビリティ情報開示に係るさまざまな機能を備えています。企業は、同ツールを用いたコンサルティングサービスを通じて、ESRSで求められる基準を満たすために必要な対応を容易に特定し、効果的な施策を検討することが可能となります。
3. 行動計画策定
ギャップ分析の結果に基づき、ESRSの要件と現在の開示状況にギャップがあることが明らかとなった項目について、現状を詳細に分析し、CSRDに準拠するために実施すべき対応を優先順位とともに明確化します。対応に必要となる業務量の見積もりを示すことも可能です。さらに、NTTデータスペインのサステナビリティ専門家とクニエのコンサルタントが、専門的知見から対応を支援することで、適切なサステナビリティ情報を整備することが可能となります。
今後の展望
クニエは、本サービスの提供に加え、気候変動対策や人権尊重など、サステナビリティ領域で培ってきた豊富な経験・知見に基づくコンサルティングサービスを提供し、各企業のマテリアリティへの対応を支援していきます。
クニエの「CSRD対応支援サービス」:社会・環境への責任を果たすための重要な一歩
クニエが提供する「CSRD対応支援サービス」は、企業が社会・環境への責任を果たすために不可欠なツールと言えるでしょう。
EUの「欧州グリーンディール計画」は、気候変動問題に対する強い意志を示しており、その実現のためには企業の積極的な取り組みが求められています。CSRDは、企業のサステナビリティに関する情報開示を義務付けることで、企業活動が社会や環境に与える影響を透明化し、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
クニエのサービスは、CSRD対応の複雑なプロセスを包括的に支援することで、企業が安心して情報開示の準備を進められるようにサポートします。特に、NTTデータスペインのサステナビリティ専門家との連携は、欧州の最新動向を把握し、より実践的なアドバイスを提供できる強みと言えるでしょう。
企業にとって、CSRD対応は単なる規制対応ではなく、社会・環境への責任を果たすための重要なステップです。クニエのサービスを活用することで、企業は自社のサステナビリティに関する取り組みを強化し、社会の持続可能な発展に貢献できるでしょう。
今後、企業は、CSRD対応を通じて、サステナビリティに関する課題を認識し、積極的に取り組むことが求められます。クニエの「CSRD対応支援サービス」は、企業が社会・環境への責任を果たすための重要な一歩となるでしょう。