環境再生型農業の新たな一歩
キリンホールディングス株式会社とキリンビバレッジ株式会社は、環境保全を目指す農業の実践をサポートする新たなツール「リジェネラティブ・ティー・スコアカード」をレインフォレスト・アライアンスと共同で開発しました。このツールは、スリランカの紅茶農園を対象に、2024年12月から運用が開始される予定です。
環境再生型農業とは
環境再生型農業は、農業活動を通じて自然環境を保全し、再生を目指すアプローチです。「リジェネラティブ・ティー・スコアカード」は、この理念に基づき、紅茶農園で働く人々が簡単に利用できるよう設計されています。農業の実施状況を評価し、環境再生型農業への移行に必要な改善点を提示することを目的としています。
スコアカードの特徴
「スコアカード」は農園の土壌の健全性、生物多様性の確保、生態系の回復、農園内で働く人々の生活向上を推進する方法を示しています。農園はこのツールを活用することで、現在の農業実践から環境再生型農業への移行に向けた具体的な指針を得ることができます。
日本の紅茶市場とスリランカ
現在、日本に輸入されている紅茶葉の約40%がスリランカ産で、その約20%が「キリン 午後の紅茶」に使用されています。キリングループは2013年から、スリランカの茶葉生産地やそこで働く人々とのパートナーシップを強化し、持続可能な茶葉の調達を目指していく活動を展開しています。その結果、2023年末までにスリランカの大農園の約30%がレインフォレスト・アライアンス認証を取得しました。
環境報告書と課題認識
キリンは2022年に発行した「環境報告書2022」において、スリランカの紅茶農園に関する自然資本の開示試行を行いました。続く2023年には、農園の自然との関係性を評価し、持続可能性向上に向けたアプローチを分析しました。スコアカードの開発は、小農園の持続可能な運営を支援するための取り組みの一環です。
キリングループの未来展望
今後、キリングループは生物資源や水資源、気候変動など複合的な環境課題に対して統合的に取り組む考えを示しています。この取り組みを通じて、地球の恵みを次世代に引き継いでいくことが目標です。具体的には、自然と人に対してポジティブな影響をもたらす様々な活動を推進していく方針です。
キリンとレインフォレスト・アライアンスによるこの新しいツールの展開は、環境再生型農業の実現に向けた重要なステップであり、持続可能な未来への道を開くことが期待されています。