若手社員のメンタルヘルス不調、その実態と対策を探る

2023年、株式会社パーソル総合研究所が発表した「若手従業員のメンタルヘルス不調についての定量調査」は、若年層が直面している深刻なメンタルヘルスの問題を浮き彫りにしました。この調査は、法律の整備が進んできたにもかかわらず、職場におけるメンタルヘルス不調が依然として根深い問題として残っていることを示しています。特に2020年以降、社会的な不安やSNSの影響、パンデミックの影響が相まって、若年層のメンタルヘルスに対する影響は無視できないものとなっています。

調査の線引き

この調査では、若年層とは主に20代の社員を対象に、彼らが抱えるメンタルヘルスの不調の背景や原因、発現率を探ることを目的としています。過去3年間にメンタルヘルス不調を経験した正規雇用者の中では、25%が職場を辞めたとのデータも示されています。特に20代では、この割合が高く約4割に達しています。これは、若手社員が直面するストレスや業務負担の影響が深刻であることを物語っています。

メンタルヘルス不調の影響

若年層のメンタルヘルス不調は、生活の質を大きく損なうものであり、その結果として退職や休職に繋がることも少なくありません。調査によれば、メンタルヘルス不調を抱えた部下への対応を経験した管理職の約5割が業務上の負担を、約4割は精神的に大きな負担を感じたと回答しています。これは、メンタルヘルスの問題が個人に留まらず、組織全体に影響を及ぼす要因となりうることを示しているのです。

主な要因

調査結果からは若年層特有の傾向として、拒否回避志向が高いこと、長時間のスクリーンタイムが習慣化していることが指摘されています。特に、スマートフォンなどのデジタル画面を長く見続けることが脳疲労や眼精疲労を引き起こし、ストレス耐性を下げる要因になっています。また、相談しなかった若年層の退職率は非常に高く、35%以上が退職しており、早期相談の促進が急務であることが分かります。

職場環境の改善

これらの課題に対処するためには、職場環境の改善が不可欠です。特に、メンタルヘルス不調に対する正しい認識を持つことが、若手社員が職場に相談するきっかけとなるでしょう。調査からは、職場内での支援策が多くの相談者から評価されている一方で、相談しなかった理由として「何も解決しないと思った」という意見が目立ちました。これに対処するため的確な情報提供が求められます。

解決策の提案

調査では、職場におけるメンタルヘルス不調の対応についてのコミュニケーション不足が問題視されており、非管理職向けの研修や啓発施策が有効であるとされています。特に、職場の対応イメージを明確にするための情報共有や、セミナーなどの実施が重要であり、これにより相談のハードルを下げることができると考えられています。

結論

現在、若年層のメンタルヘルス不調は企業にとって無視できない課題です。パーソル総合研究所の調査結果を踏まえ、企業はより効果的な対策を講じる必要があります。管理職は、部下との関係性を見直し、ストレスを軽減する環境作りに努めることで、健康的な職場を実現できるでしょう。モダンな働き方が求められる現代において、メンタルヘルスへの配慮は企業の成長の鍵を握るといえます。