発達障害・境界知能を持つ子どもに自立の手助け
昨今、発達障害や境界知能を抱える子どもたちが社会に出る際に直面する困難が多く取り上げられています。就業後に離職してしまうケースも報告されており、その理由の一つが日常生活に必要なソフトスキルの不足です。これを解決するために、合同出版株式会社から新しいアセスメントツール『発達障害・境界知能(グレーゾーン)の子のライフスキル・アセスメントツール』が2025年7月30日に登場します。このツールは、発達障害や境界知能を持つ子どもたちが社会で自立するために必要なライフスキルを確認し、理解を深めて支援するためのツールです。
ソフトスキルの重要性
社会で働くためには、単に技術的なスキルだけでなく、生活に必須のソフトスキルが不可欠です。例えば、時間を守ることや身だしなみの整え方、基本的なコミュニケーション能力などです。これらが身についていないために、就職後もスムーズに働けず、結果として離職に至ることが少なくありません。そこで、ライフスキルのベースとして位置づけられる12のスキルをチェックすることができる本ツールを活用することで、課題や強みを把握し、必要な支援を行えるようになります。
本ツールの特色
本アセスメントツールは、以下の12のライフスキルを中心に構成されています。
メインスキル
1.
セルフケアスキル: 身だしなみや身の回りの世話。
2.
時間管理スキル: 遅刻をしない、時間を守る。
3.
金銭管理スキル: お金の使い方や貯蓄。
4.
移動スキル: 目的地への正しい移動方法。
5.
コミュニケーションスキル: 同僚や上司との円滑なやりとり。
6.
余暇スキル: 適切な休憩を取ることでストレスを乗り越える。
サブスキル
1.
対人行動スキル: 人間関係を良好に保つ行動。
2.
自己抑制スキル: ストレスや不安感を自分で管理する能力。
3.
健康管理スキル: 体調を維持し必要な医療を受ける。
4.
感覚対処スキル: 感覚の過敏さへの対応。
5.
日常行動スキル: 日常生活の中での対処能力。
6.
危機管理スキル: トラブルに適切に対応する能力。
これらのスキルをアセスメントシートを使って見える化することで、子どもたち一人ひとりの特性に合った支援が可能になります。ツールは保育所や学校、特別支援学校など、さまざまな施設で利用でき、その効果的な活用法が期待されています。
便利なセット内容
本ツールのセットには、64ページの解説書に加え、メインスキルとサブスキルのチェックシートがそれぞれ配布されています。このセット内容は、保護者や教育支援者が子どもの特性を理解し、適切な支援を行うための貴重な資料となるでしょう。さらに、学級や放課後活動に特化した別売りシートも用意されており、教育現場での活用が進むことを目指しています。
著者紹介
著者の梅永雄二教授は、早稲田大学で教育心理学を専攻し、臨床心理士、特別支援教育士として数多くの著作があります。自らの経験を基に発達障害を持つ人々への理解を深める取り組みを行ってきた彼の知見を基にデザインされたこのアセスメントツールは、多くの子どもたちを支える力になることでしょう。
まとめ
発達障害や境界知能を持つ子どもたちが自立し、社会で活躍するためには、生活スキルの向上が鍵となります。『発達障害・境界知能(グレーゾーン)の子のライフスキル・アセスメントツール』の導入は、その一助となることを期待しています。