電通総研が実施したR&Dと事業創出に関する調査の結果
テクノロジーを駆使して企業と社会の進化を支援する株式会社電通総研と株式会社電通は、760名の企業のR&Dおよび事務系部門の従業員を対象に、「新たな事業創出とR&Dの関係性に関する調査」を実施しました。本調査の目的は、「新たな事業創出」や「製品企画」に取り組む企業の実態を探り、R&D部門がどのように貢献し、またどのような課題を抱えているかを明らかにすることです。調査の結果、R&D部門が中心となって企業の事業創出に貢献しているという実態が示されため、注目の調査結果を以下に詳しく解説します。
主な調査結果
1.
R&D部門の期待役割と実態のギャップ
企業がR&D部門に求める役割の最上位には「スピード感のある研究・開発」があり、次いで「グローバルで競争力のある技術の開発」や「事業成果を見込んだ推進」が挙げられます。しかし、実際にこれらの期待に対する貢献実感は低く、スコアの差は大きいことが示されています。
2.
新たな事業創出への取り組み状況
全体の73.5%が新たな事業や製品企画に取り組んでいると回答していますが、成功を実感しているのは20.2%にとどまります。このギャップは、事業創出のための取り組みが必ずしも成果に結びついていないことを物語っています。
3.
R&D部門の貢献実感
R&D部門がもたらす成果の貢献度について「非常に貢献している」との意見は全体の12.4%に過ぎません。この結果は、R&D部門の役割が企業全体でどの程度認識されているかを浮き彫りにしています。
4.
成功社員と失敗社員の認識の違い
新たな事業創出の成功を実感している従業員は、R&D部門の貢献を約4倍も高く評価しています。これは、企業の取り組みにおいてR&Dが持つ存在意義の理解が深まっていることを示唆しています。
5.
成功のための共通特徴
成果が上がった企業には、R&D部門の特徴として以下の5つがあります:
- 中長期の研究戦略の明確な共有
- 社内外での自社技術の理解
- 顧客ニーズを深く理解している
- R&Dが新事業の主導権を持っている
- 外部パートナーとの連携が上手くいっている。
調査の重要性
今回の調査の結果は、企業が「今までの事業」から「新たな事業への変革」に向けた取り組みが広がっている一方で、その成果に対しては約2割しか感じられていない現実を強く反映しています。特に、R&D部門の役割が企業の成長において非常に重要であることが示されました。
電通総研は、調査結果を踏まえた実践的なR&Dプログラム「R&D For Growth」を展開し、企業の技術価値を事業創出につなげる役割を果たしていくことを目指しています。これにより、企業間や部門間の橋渡し役となり、全社的な技術価値の最大化を図ることで、さらなるイノベーションを創出しようとしています。これからの企業戦略においてR&D部門の活用がカギを握ることは明白です。今後の進展に注目が必要です。