次世代電池技術が切り拓く新たな空の時代
2025年、I-PEX株式会社と株式会社うるたまが共同開発した「三次元不織布集電体」を搭載した電池パックが、マイクロドローンの航続時間を劇的に向上させることに成功しました。これにより、従来の電池に比べて約2倍の航続時間を実現し、16分以上の飛行が可能となりました。この最新技術は、特に危険地域での点検や監視が求められる場面で、その真価が期待されています。
「三次元不織布集電体」とは?
「三次元不織布集電体」は次世代リチウムイオン電池の性能向上を図るために開発された新しい集電体です。この技術は、シリコン系活物質の密着性と導電性を改善し、従来の黒鉛系材料と比較して、理論的な容量が10倍以上になることが期待されています。これにより、電池パックの軽量化と高出力化を同時に達成できるのです。
飛行テストの実施
両社は、今回の電池パックの性能向上を検証するため、マイクロドローンに搭載して飛行テストを行いました。テストでは、シリコン負極電池パックが16分20秒、リチウム負極電池パックが17分42秒のホバリングに成功しました。一方で、市販の比較用電池パックは8分51秒の飛行時間だったため、明らかにその差が浮き彫りになりました。
軽量な電池パックの詳細
テストに使用された電池パックには、以下の仕様がありました。
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セル数: 3
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容量: 1800mAh
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電圧: 11.1V
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重量: 72.6g
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飛行時間: 16分20秒
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セル数: 3
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容量: 1930mAh
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電圧: 12.0V
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重量: 73.7g
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飛行時間: 17分42秒
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セル数: 3
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容量: 1000mAh
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電圧: 11.1V
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重量: 72.7g
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飛行時間: 8分51秒
今後の展望
I-PEXは、今後もこの技術を商品化に向けた開発を進めていく予定です。特に電池のサイクル特性や安全性、量産性の検証を行い、実用化に向けた準備を整えていきます。また、2025年11月には愛知県で開催される「第66回電池討論会」にて、「三次元不織布集電体」の技術を一般の前に披露する予定です。
まとめ
I-PEXとウルトラマの「三次元不織布集電体」は、マイクロドローンによる新たな飛行体験を提供すると同時に、危険な場所での点検作業における新しい可能性を切り拓きます。このような革新が進むことで、私たちの未来のライフスタイルが一層豊かになることでしょう。