人的資本開示義務化1年後の現状:課題は情報管理と可視化
2023年3月から有価証券報告書への人的資本情報の記載が義務化されて1年。多くの企業が人的資本情報を開示するようになりましたが、その一方で、管理方法や可視化、経営効果の検証など、多くの課題を抱えていることも明らかになっています。
株式会社オデッセイは、全国の従業員1000名以上もしくは年商500億円以上の企業の人事関係者、経営企画関係者500名を対象に、「人的資本情報の可視化・開示の取り組み状況に関する調査」を実施しました。
調査結果から浮かび上がる課題とニーズ
調査結果から、企業は下記の課題を抱えていることが明らかになりました。
1.
情報開示の効率化: 約8割の上場企業が有価証券報告書に人的資本情報を掲載していますが、半数以上の企業が掲載作業に手間がかかっていると回答しています。
2.
管理すべき情報の特定: 多くの企業が「どの人的資本情報を管理し、開示すべきか決められない」と悩んでいます。
3.
情報の可視化: 人的資本情報を可視化できている企業は6割ほどですが、その半数以上が可視化に手間がかかっている状況です。
4.
情報基盤の整備: 情報システム等、人的資本情報を収集・加工する仕組みが不足している企業が多く、タレントマネジメントシステムの導入や人事システムの強化が求められています。
5.
経営効果の検証: 人的資本情報の開示・活用による経営効果を財務情報で確認している、もしくは確認しようとしている企業は8割以上に上り、財務情報による経営効果の確認は今後の課題となっています。
企業のニーズに対応するオデッセイの取り組み
オデッセイでは、これらの課題解決を支援するために、2022年からSAP SuccessFactorsを活用した「Ulysses 人的資本ダッシュボード®」を提供しています。このダッシュボードは、以下の特徴を持っています。
1.
ISO30414の11領域をモニタリング可能: データを投入するだけで、簡単に人的資本情報の可視化が可能です。独自の管理項目がまだ決まっていない場合でも、人的資本情報の管理・活用をスタートすることができます。
2.
有価証券報告書への記載義務化事項に対応: 記載義務化事項のモニタリングだけでなく、金融庁の推奨フォーマットで簡単に随時出力可能なので、有価証券報告書記載作業の負荷軽減が期待できます。
3.
経営効果を財務情報で検証する機能開発中: 財務情報を活用した代表的な指標をモニタリングする機能を開発中です。上半期でのリリースを予定しています。
まとめ
人的資本開示義務化は、企業にとって大きな変化をもたらしました。多くの企業が情報開示に取り組んでいる一方で、情報管理や可視化、経営効果の検証など、克服すべき課題も多く存在します。オデッセイは、「Ulysses 人的資本ダッシュボード®」を通して、企業の人的資本経営を支援し、持続的な成長に貢献していきます。