AIの活用で市民の意見を政策形成へ
2025年5月、株式会社Liquitousは市民参加型の合意形成プラットフォーム「Liqlid」をアップデートしました。この新しい機能は、市民の意見を効果的に分析し、政策形成に反映させるものです。特に注目されるのは「論点の自動抽出機能」と「SNS上の意見集約機能」の2つです。
「論点の自動抽出機能」
この機能は、大規模言語モデル(LLM)と自然言語処理を用いて、Liqlidに寄せられた投稿を自動的に分類し可視化します。これまでに70以上の自治体で利用されており、投稿数が数千件を超えることもあります。そこで、この機能を活用することで、膨大な数の意見を効率よく分析し、政策形成に必要な情報を迅速に整理することが可能になります。
具体的には、同機能が寄せられた投稿を、共通のキーワードでグループ化し、各論点の投稿数や傾向を可視化することによって、担当者が議論の全体像を把握しやすくなります。この結果、政策に市民の意見を反映させるための適切な検討が行えるようになることが期待されています。
「SNS上の意見集約機能」
現代社会では、市民意見がやり取りされる場が多様化してきました。Liqlid上での意見聴取だけではなく、SNS上からの意見も見ることが重要です。「SNS上の意見集約機能」は、X(旧Twitter)などのSNSから公開投稿を自動収集し、テーマや地域ごとに傾向を可視化する機能です。これにより、施策検討の早期段階から市民の関心や懸念を把握できます。
この機能を活用することで、専門的な知識がなくても大量のSNSデータを分析することが可能です。市民との双方向のフィードバックを行うことができ、機会を作りながらより多くの市民の声を集めることができます。
実際の応用と期待
静岡県と京都市では、既にこの新しい機能を活用したプロジェクトが進行中です。静岡県では「こえのもりしずおか」というオンラインプラットフォームを構築し、子どもたちの意見を収集しています。京都市では「みんなの理想京」特設サイトを通じて、市民の理想とする未来のビジョンを議論しています。
これらの取り組みでは、収集された意見が正式な審議に役立てられています。特に京都市では、15,000件以上の投稿があり、これらを基に資料を作成し、議論を重ねています。これらのプロジェクトでは、Liqlidの機能を駆使して市民の意見を反映した成果が期待されます。
株式会社Liquitousの将来への展望
株式会社Liquitousの代表取締役CEO、栗本拓幸氏は、AI技術がもたらす可能性と、その利用に際する課題の克服に努めています。「私たちは市民と行政のコミュニケーションの橋渡しをし、AIを活用することで、より多くの市民参加を促進していきたい」と述べています。
AIによって市民の声を効率的に反映させる仕組みの実現を目指すLiquitousに今後も注目が集まります。