江戸の茶商・山本山が伝統の宇治茶を復活!
創業335年を迎える老舗茶商・山本山が、2024年12月1日(日)より、高級煎茶『宇治 天下一』を発売しました。
『宇治 天下一』は、江戸時代の茶文化へのオマージュとして、当時、江戸に広まった“はじまりの煎茶”を感じられるような、浪漫あるお茶を目指して作られました。
山本山は、江戸・日本橋で1690年(元禄三年)より商いを続けており、江戸っ子の嗜好に合わせて、濃い緑色の水色と濃厚な味わいが特徴の深蒸しのお茶が主力となってきました。しかし、『宇治 天下一』は、深蒸し茶が多い山本山の煎茶商品の中にあって、浅蒸しで作る昔ながらの宇治茶への回帰を目指しています。
“はじまりの煎茶”のルーツ
『宇治 天下一』のルーツを探るには、日本煎茶の祖と言われる永谷宗円と、当時の山本山の店主・山本嘉兵衛の出会いを遡る必要があります。
永谷宗円は、1738年に現在の煎茶の製造方法につながる「青製煎茶製法」を確立しました。それまでの庶民のお茶は、茶葉を加熱処理して煮出したもので、水色は赤黒く、味は薄かったと言われています。永谷宗円は、より美味しいお茶を目指して試行錯誤を重ね、蒸した茶葉を乾燥させる前に「揉む」工程を加えることで、緑色の水色とまろやかな味わいのお茶を発明しました。
永谷宗円は、この青製煎茶を多くの人に飲んでもらうため、江戸にやってきました。そこで出会ったのが、当時の山本山の店主・山本嘉兵衛です。山本嘉兵衛は、そのお茶の素晴らしさに惚れ込み、その場で全て買い取り、翌年分の購入まで約束しました。そして、そのお茶に「天下一」という名を付して売り出したことがきっかけとなり、煎茶が江戸中に広まっていったと言われています。
『宇治 天下一』のこだわり
『宇治 天下一』は、京都府南部の山間地で育った柔らかな新芽だけを厳選して作られています。2024年春に摘採した新芽を浅蒸しで加工し、秋まで熟成させてから仕上げることで、新茶特有の青々しさが取れ、やさしい旨みを持った上品な味わいに仕上がっています。
透き通った黄色の水色と、針葉樹が生い茂る深い森を感じる深緑の香り、ふくよかな茶の旨みを楽しむことができます。70℃〜80℃まで冷ましたお湯で淹れると、その特徴をより一層感じることができます。
江戸の香りを現代に
山本山は、『宇治 天下一』を通じて、江戸の茶文化を現代に蘇らせたいと考えています。
創業の地である日本橋にある旗艦店「山本山 ふじヱ茶房」では、『宇治 天下一』を喫茶メニューとしても提供しています。お茶のプロが、茶葉の量や湯温、抽出時間にこだわってお淹れするので、日本橋を訪れた際には、ぜひ立ち寄ってみてください。