「Care IDN」とは
有限会社ニューズコーポレーションは、埼玉県北本市に本社を置き、介護業務において約25年の実績を持つ企業です。最近、この企業が新たに発表した「Care IDN(ケア・アイディーエヌ)」は、介護現場の負担を軽減し、利用者の生活を支えるための仕組みを目指した自社開発システムです。本システムは、介護記録の検索、要約、可視化を行うもので、現場での判断を支援することを目的としています。
介護現場の課題
介護業界では記録作成が負担に感じられる場面が多く、これまで蓄積されたデータが有効活用されないという課題が存在していました。例えば、利用者のニーズや状況に応じた最適なケアを実施するために、どのように記録を解釈し、活用するかが重要です。しかし、従来の方法では十分な効果を発揮していませんでした。
保守的なアプローチからの脱却
そこで、市場に導入される「Care IDN」というシステムは、特に介護現場におけるITとデザインの統合的なアプローチを取り入れています。 =例えば、ヘルスケア事業部とデザイン事業部が協力し、現場のニーズをしっかり理解し、それを技術とデザインに活かしていくという取り組みを進めています。これにより、従来の延長線上にない新しいアプローチが生まれ、ケアの質を向上させることが期待されます。
LLM技術を駆使した最新の開発
特に近年では、大規模言語モデル(LLM)のローカル運用が可能となり、クラウドに依存しない形での検証が可能になっています。ニューズコーポレーションでも、2025年8月までにローカル検証環境の構築が完了し、介護現場のデータを活用した安全なAI処理が検証できる体制を整えています。
実証内容とスケジュール
本研究開発の目的は、日々の介護記録から要点を自然文で検索し、短時間で理解できるかを評価することです。また、LLMを活用したデータの自動抽出や可視化が、現場や利用者の家族にとっての安心に寄与するかも検証します。このプロジェクトは2025年10月から12月にかけて実施され、社内のローカルサーバで運用される予定です。
セキュリティと法令遵守の配慮
介護における個人情報の取り扱いは非常に重要であり、本システムは個人情報が外部に送信されないよう、閉域環境での処理を基本としています。また、アクセス制御や監査ログ、データ保持期間についても明文化されており、個人情報保護法に基づいた運用が実施されます。
企業のビジョンと今後の展望
平尾良雄代表取締役(医師・医学博士)は、介護現場に蓄積されるデータの有効活用が今後の大きな課題であると強調しています。Care IDNは、記録を単なる負担から「生活を支える資産」へと変換するための革新的なツールとなりえると述べています。今後、この実証の成果を基に、PoC用ソフトウェアの開発に取り組み、2026年上旬には実証を開始する予定です。
最後に
介護記録をただの形式的なものにするのではなく、より良い利用者の生活支援に結び付けるためのプロジェクトとして、「Care IDN」は期待されています。今後は、クラウドやハイブリッドでの展開を含めた運用形態の検討も行われる予定です。これは介護福利の未来を形作る一歩であり、地域社会全体に安心をもたらすことが期待されています。