デジタル製品パスポートの実証
2025-12-11 10:53:15

サトーがデジタル製品パスポート実証実験を発表、資源循環モデルの可能性を探る

サトーのデジタル製品パスポート実証実験



株式会社サトー(本社:東京都港区)は、ナカダイホールディングスおよびRadarLabと協力して、デジタル製品パスポート(DPP)の社会実装に向けた実証実験の結果を公開しました。本実験は、廃棄予定のラベルプリンターを使用して、製造からリサイクルまでの各プロセスでデータを一元管理することを目的としています。

実証実験の背景



サステナビリティに対する関心が高まる中、世界中でサーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行が進んでいます。特に欧州では、2023年8月に「欧州電池規則」が施行され、2027年にはバッテリーパスポートの義務化が見込まれています。これに伴い、製造からリサイクルまでの情報管理を一元化する取り組みが急速に発展しています。

一方、日本国内ではDPPの導入が進んでいるものの、製造過程に留まる実証やデータ中心にとどまっているケースが多いです。このため、製造、流通、リサイクル間の情報共有が不十分で、資源循環に必要なデータの分断が生じています。

実証実験の目的とプロセス



サトーによる実証実験は、2025年10月から開始されました。本実験では、サトー製のラベルプリンターを回収し、解体と再資源化を行い、その後再生素材を用いたハンドラベラーの試験製造に至るまでの全プロセスにDPPを導入しました。各工程で収集されたデータは統合され、資源循環モデルの有効性が検証されました。

確認された結果



実証実験を通じて、以下の成果が得られました。

1. データ連携による透明性の向上
DPPを使用することで、製造情報からリサイクル、再資源化までの情報を一元的に管理できることが実証されました。また、トレーサビリティ機能により、製品のシリアル番号を追跡することが可能で、再生材の透明性が確保されました。

2. 現場オペレーションの改善
DPPによって、解体現場での素材情報を事前に把握できることで、作業効率が向上し、品質安定化や生産速度の向上が期待されることが確認されました。

3. 再生材利用の促進
材料の由来や品質に関する情報を一元管理することで、再生材を積極的に活用する基盤が整いました。

4. 個品IDによる追跡管理の実現
各工程において個品IDを用いた管理が可能であり、精度の高いトレーサビリティが運用されることが確認されました。

5. 段階的なデータ連携の実現
異なるデータフォーマットでも一般的な形式からのデータ連携が可能で、各社が取り組みを進めやすい状況が整いました。

6. 国際標準への適合性
国際標準「UNTP」に基づいたデータ構造が、日本企業の製品仕様でも問題なく運用できることが示されました。

未来への展望



本実証実験の成果は、単なる資源循環にとどまらず、未来の産業構造の形成にも寄与する可能性があります。製品の製造からリサイクル、再利用までを一貫してデータ管理し、企業間での情報共有を進めることにより、循環型のビジネスモデルが確立されることでしょう。

今後、サトーはDPPの社会実装と資源循環の実現に向けて、さらなる研究開発と実証を進めていくことでしょう。


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会社情報

会社名
株式会社サトー
住所
東京都港区芝浦3-1-1msb Tamachi 田町ステーションタワーN
電話番号
03-6628-2400

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