Green Carbon株式会社は、2024年11月7日から9日にかけてタイのバンコクで開催された「Thailand Space Week 2024」に登壇しました。このイベントは、アジア最大規模の宇宙関連イベントとして知られており、Green Carbonは、自然由来のカーボンクレジット創出における衛星データの活用について、自社の取り組みを紹介しました。
Green Carbonは、東南アジアを中心に、森林保全や水田、マングローブ植林、牛のゲップ削減、バイオ炭プロジェクトなど、幅広い自然由来のカーボンクレジット創出プロジェクトを展開しています。特にタイでは、AWD(間断灌漑)を用いた水田のメタンガス削減プロジェクトとバイオ炭による土壌への炭素貯留プロジェクトに力を入れています。
同社は、JAXAだいち2号(ALOS-2)事業化実証に採択されるなど、カーボンクレジット創出における衛星データ利活用にも積極的に取り組んでいます。今回のイベントでは、タイを含む海外で進行中のプロジェクトを紹介し、自然由来のカーボンクレジット創出における課題とその解決策について説明しました。
Green Carbonが挙げた課題は、以下の3つです。
1.
プロジェクトの適地探索における課題:必要設備の有無や土地の状態によって、プロジェクトを実施できるかどうかを判断する必要があります。現地訪問が必要なケースもあり、適地探索のコスト増大が課題となっています。
2.
モニタリングにおける課題:水田におけるメタンガス排出削減プロジェクトでは、削減量の実測値を手作業で行っている現状があります。同様に、水位の計測も肉眼での確認と記録が中心のため、コスト増大と透明性の確保が課題となっています。
3.
カーボンクレジットの創出から販売における課題:カーボンクレジットの創出、登録、販売に至るプロセスが煩雑で、各認証機関の方法論に沿ったプロジェクトの実施、データ収集、書類提出が求められます。そのため、クレジット創出にかかる労力の大きさが課題となっています。
これらの課題を解決するため、Green Carbonは衛星データを活用したプロジェクトモニタリング手法の確立に取り組んでいます。この取り組みによって、適地探索や計測を伴うクレジット発行までのプロセスの簡易化とクレジットの透明性確保を目指しています。
Green Carbonは、今後も衛星データやAI技術を活用することで、モニタリングの簡素化、正確性・透明性の向上、データの可用性促進、そしてクレジット創出にかかるコスト削減を実現していきます。さらに、プロジェクト展開地域においては、環境保全と温室効果ガス削減の両立に加え、現地農家への裨益提供を重視し、脱炭素化および経済発展に貢献することを目指しています。
タイ政府は、2030年までに温室効果ガスの30%削減、2050年にはカーボンニュートラルの達成を目標としています。Green Carbonは、タイでの事業展開として、最大100万haの水田を活用したAWDプロジェクトを実施し、約500万tの温室効果ガス削減を目指しています。さらに、バイオ炭など水田以外の自然ポテンシャルを活用したプロジェクト開発も並行して進めることで、タイの脱炭素化に貢献していきます。