イタリアのレスタ社が挑む塗装ロボット技術の新境地
イタリアに拠点を置くレスタ社は、熟練した塗装工の技術を具現化した塗装ロボットを開発し、業界の課題解決に挑んでいます。彼らが手掛けるロボット技術は、外部環境や素材の特性に応じて柔軟に対応し、高品質な仕上げを実現するものです。この進化を支えるのが、ドイツのベッコフオートメーションによるPC制御技術とドライブ技術です。
レスタ社のロボット開発とその実績
レスタ社は2010年にミラノ近郊で設立され、塗装ロボットの開発に特化してきました。彼らのロボットは金属、木材、プラスチックなど様々な素材への塗装が可能で、現時点で約700台が世界中で稼働しています。その中には、ATEXやUL認証を受けたモデルも含まれており、安全性も確保されています。毎年、新たに100台以上のロボットが導入されており、その需要は高まっています。
自動学習型ロボットの革新
特筆すべきは、レスタ社の自動学習型ロボット「LEBOT MV A5」や「LEBOT MV A6」です。これらの機種は、熟練工の手動操作をリアルタイムで学習し、同じ動きを自動的に再現できます。この機能により、塗装プロセスの効率化と高精度化が実現し、ロボットの動作はなめらかで再現性も高くなっています。また、空気圧補正システムにより、オペレーターはほぼ抵抗を感じることなく作業ができ、作業環境の負担も軽減されています。
ベッコフの技術がもたらす効果
レスタ社のロボット設計においては、ベッコフのPC制御技術が重要な役割を果たしています。ロボットは最大で十数軸の補間軸を持ち、塗装工の滑らかな動きを忠実に再現します。この実現には、TwinCAT 3ソフトウェアが活用されています。レスタ社の自動化部門責任者ファビオ・フェラリオ氏は、正確な位置決めと高度なモーション制御が求められたと語っています。さらに、ベッコフの多軸サーボシステムAX8000が、ダイナミックで精密な動作を実現しています。
効率的な運用と設置
レスタ社のロボットは、設置から試運転までがスピーディーに行えるというメリットもあります。フェラリオ氏によると、わずか1週間ほどで新しい塗装ステーションを稼働させることができ、これが業務効率の向上に寄与しているとのことです。
柔軟性とカスタマイズの可能性
ベッコフのオープンな制御プラットフォームは、他社製品やアルゴリズムを追加して自由に拡張できる点が魅力です。これにより、プロジェクトごとにロボットの機能を柔軟にカスタマイズすることが可能です。また、TwinCATのOPC UA通信機能を通じてユーザーの工場管理システムとの統合が簡単に行え、インダストリー4.0の進展にも寄与しています。
今後の展望
レスタ社は今後、機械学習や深層学習の導入を計画しており、さらなる効率化を目指しています。このような技術の進化が、塗装ロボットの未来を大きく変える可能性があります。レスタ社とベッコフのコラボレーションが生み出す未来の塗装ロボットに期待が寄せられます。