名古屋市での新たな交通手段「Dバス」実証運行
名古屋市が公共交通の空白地解消に向けて、新たな試みを始めました。名古屋鉄道株式会社が取り組むAIを活用したオンデマンド交通「Dバス」の実証運行が、2025年8月18日からスタートします。このプロジェクトは、国土交通省による令和7年度の「交通空白」解消緊急対策事業に選ばれた「西福田学区交通空白解消プロジェクト協議会」の一環として進められます。
取り組みの背景
名古屋市の港区に位置する西福田学区は、公共交通手段が限られており、多くの地域住民が不便を強いられてきました。この課題に対処するため、名古屋鉄道は名鉄タクシーホールディングスと協力し、産官学の連携を通じて、地域に根ざした交通サービスの提供を目指しています。
「Dバス」とは?
「Dバス」は、乗合タクシーとして運行される新しい交通手段です。AI技術を活用し、利用者の条件に応じて最適な経路を提供します。運行日は2025年8月18日から2026年2月17日までで、毎日8時30分から18時30分まで利用可能です。利用者は、電話やWebサイト「デライド」を通じて予約することができ、地域内の任意の場所で乗降が可能です。
運賃は、65歳未満が300円、65歳以上が100円、さらに6歳未満や福祉特別乗車券を持つ方は無料で利用できます。現金や交通系ICカード、回数券で支払いが可能です。
実施体制と連携
本プロジェクトには多くの団体が参画しています。名古屋鉄道と名鉄タクシーホールディングスが中心となり、西福田学区の交通課題を解決するために様々な活動を行っていきます。名古屋市や名古屋大学も協力し、交通需要の予測やサービスの改善を図ります。
「デライド」の機能
移動をもっと便利にするために、名古屋市が提供するマイクロMaaSサイト「デライド」が運用されています。このサービスでは、Dバスの予約機能に加え、名古屋市内のタクシー配車や周辺スポットの検索、さらには店舗で利用できるお得なクーポンの配信も行っています。これにより、地域住民や観光客がより快適に移動できる環境を整えています。
特に、Dバスの予約機能は、利用者にとって非常に便利なツールとなるでしょう。利用者は氏名や生年月日といった基本情報を登録し、必要情報を指定することで、簡単に予約ができるようになります。
交通の未来を考える
この「Dバス」プロジェクトは、名鉄グループが掲げる中期経営計画の一環として進められるもので、公共交通を中心としたモビリティネットワークの実現に向けた重要なステップです。交通手段の多様化が求められる現代において、AI技術の導入は、地域活性化や住民の生活向上に寄与することが期待されています。
名古屋市の新しい交通手段「Dバス」がどのような成果をもたらすか、今後の展開に注目です。