AI薬歴作成支援サービス「corte」とは
株式会社ソラミチシステムと株式会社corteが共同開発した「corte」は、薬剤師が服薬指導中の患者との会話を記録し、必要な情報を自動で要約するAI薬歴作成支援サービスです。最近、このサービスに新たに「服薬採点機能」が追加され、特許出願が行われました。この機能は、薬剤師の指導内容を多角的に評価し、その質の向上を目指すものです。
服薬採点機能の概要
「服薬採点機能」は、日本調剤が持つ豊富な服薬指導のノウハウと、和歌山県立医科大学の岡田浩教授の独自の評価基準に基づいており、評価は以下の5つのポイントに分かれています。
- - コミュニケーション技術
- - 患者理解・傾聴姿勢
- - 質問技法・情報収集
- - 共感・雰囲気作り
- - 情報提供・メリット提示
これら5項目はそれぞれ100点満点で評価され、薬剤師は自らの指導スキルを客観的に振り返ることができるのです。この機能を用いることで、薬剤師は具体的な改善点を把握し、日々の対人業務の質を向上させることが期待されます。
業務の質向上に寄与する背景
近年、医療業界では薬剤師の対人業務がますます重要視されています。厚生労働省の診療報酬改定では、服薬指導や薬剤師によるフォローアップ等の対人業務の評価が強化され、現場では「服薬指導の質向上」が求められています。しかし、実際の調査では、多くの薬剤師が指導後にフィードバックを受ける機会が少なく、どのように改善を行えば良いか分からないといった課題を抱えています。
ここで「corte」の「服薬採点機能」が登場します。この機能により、薬剤師は自らの指導を具体的に評価し、多角的な観点から振り返ることが可能になります。この新しいツールが、薬剤師の成長に役立つだけでなく、患者との信頼関係の構築にも寄与することが期待されます。
各専門家の期待
日本調剤の薬剤本部薬剤企画部長である長島雄一氏は「服薬采点機能」を通じて、薬剤師が自らの指導を振り返り、質の向上に繋がることを期待しています。更に、岡田教授はこの機能が薬剤師と患者の信頼関係を築くための重要な要素であると述べています。
一方、株式会社corteの社長、升澤裕介氏も「薬局から日本を元気に!」という理念の下、薬剤師の司として、指導力を向上させることが全体の質の底上げと患者の健康増進につながると強調しました。
AI音声入力機能との連携
「corte」には、「AI音声入力」機能もあり、薬剤師は実際の会話を簡単に記録・要約することが可能です。この機能は既にクラウド電子薬歴「CARADA 電子薬歴 Solamichi」に組み込まれており、2026年4月頃には「服薬採点機能」もこのシステムに内蔵される予定です。これにより、業務の効率化と質向上が期待されています。
まとめ
今回発表された「服薬採点機能」は、薬剤師の対人業務の質の向上に大きな貢献が期待される機能です。この新たなツールを利用することで、薬剤師はより良い指導を行い、患者との信頼関係を深め、地域医療に貢献することができるでしょう。