病院薬剤師の人材確保と定着へ向けた新たな取り組み
医療分野では、病院薬剤師の人材確保が喫緊の課題として浮上しています。株式会社pharmake(東京都千代田区)は、病院向けの人材育成や組織開発支援を行う企業で、2025年6月に迎える3期目を機に、サービスを全面的に刷新しました。新しい支援策には、新人・中堅・管理職それぞれに向けた多様な研修プログラム、業務改善支援、オンラインカリキュラムが含まれており、現場で直面している課題に対応する強固な体制が整えられました。
採用難と育成の課題
医療現場では病床機能の再編や地域との連携が進む中、薬剤師の業務はより専門化し、複雑になっています。こうした変化に伴い、採用は困難を極め、さらに採用後の育成やマネジメントが追いつかないという現実が表面化しています。「採用したはずなのにすぐ辞めてしまう」「中間管理職が不足している」「育成する時間も体系的な学ぶ機会もない」といった声が多く聞かれます。これらを解消するためには、薬剤師が専門性を発揮しつつ、後輩の育成やチームマネジメントにも関与できる体制の構築が不可欠です。
pharmakeの三本柱
pharmakeが新たに展開するサービスは、以下の三つの柱を基に構成されています。
1.
業務改善支援(実践伴走型コンサルティング)
対象: 薬剤部門全体
形式: 業務記録→分析→改善策の設計・導入支援
薬剤管理指導業務の改善を目指し、独自の記録システム「KIROKU」を用いてボトルネックを可視化します。行動データの分析を基に、業務上の構造的な課題を整理し、具体的な改善策を提案します。
2.
集合研修プログラム(対面/オンライン)
対象: 新人・若手〜中堅・主任・管理職層
形式: 対面/オンライン
現場の多忙さを考慮し「明日から使える」実践的かつ参加型の研修を行っています。テーマは各病院のニーズに応じて選べるため、効果的な研修の実施が期待できます。
3.
主任・管理職向け 実践集中トレーニング
対象: 主任・管理職層
形式: オンライン(全6回・3ヶ月)
少人数制のオンライン研修を通じて、リーダーシップやコミュニケーションスキルを体系的に学ぶ機会が提供されます。参加者は自分らしいマネジメントスタイルを確立することが期待されます。
現場の声から見える変化
これまでにpharmakeは、全国約300の病院薬剤部門に研修や実践支援を行ってきました。その中の一例として、帝京大学医学部附属病院の事例が挙げられます。同病院では支援を通じて、薬剤師が自らの役割を再認識し、主体的に行動することの重要性を体感しています。薬剤部長の安野伸浩先生は、教育環境が整っている中で、職員一人ひとりが自らの目的意識を持つことの重要性を強調し、これまでにない大きな成果を得たと語りました。
今後の展望
pharmakeは、刷新したサービスに加え、AIや生成系ツールの活用も推進していく予定です。医療現場の働き方を検討し、持続可能な組織のあり方をともに創り出すための貢献を続けます。薬剤師が院内で不可欠な存在として機能できるよう、現場の課題を解決し、医療の質そのものを向上させる取り組みを進めてまいります。3期目を迎え、さらなる変革の波を巻き起こすべく、実践的かつ本質的な支援を磨き続ける所存です。