画期的なAI面接評価手法が国際的に評価される
2025年10月22日から24日まで京都で開催される第21回国際会議「Advanced Data Mining and Applications 2025」(ADMA2025)において、東京大学大学院情報理工学系研究科の山崎俊彦教授と株式会社タレントアンドアセスメントの共同研究による論文が採択されました。この論文は「面接時の人物に対する評価AI」に焦点を当てたもので、AI技術が面接プロセスの公平性と客観性を向上させる可能性を示しています。
ADMA2025について
ADMA2025は、データマイニングの専門家が集まる国際フォーラムであり、研究成果の発表が行われる場です。多様なアプリケーションやシステム、ソフトウェアに関する研究が網羅されるこの会議は、AIやデータマイニングの進展を促進する役割を果たしています。採択された論文は、Springer社の「Lecture Notes in Artificial Intelligence」に掲載される予定です。
採択論文の概要
本研究の論文「Adaptive Multimodal Transformer for Personality Trait Assessment in Online Job Interviews」は、人間に代わって面接を行うAIの可能性を追求したものです。著者には、易聖舟特任助教、山﨑俊明代表取締役、山崎俊彦教授が名を連ねています。彼らは2020年から共同研究を進めており、これまでに得られた45,000件の機械学習データを基に、面接における候補者の性格特性をAIが評価するプログラムを開発しました。
研究の背景
従来の面接では、人による評価が主観に左右され、公平性や一貫性に欠けるという課題がありました。本研究では、AIが受検者の発言を解析し、構造化された質問を通じて得られたデータから客観的な評価を実現。100段階の精密なスコアリングが可能になるという新しいアプローチを導入しています。
AIモデルの概要
この研究では、以下の特徴を持つAIモデルを開発しました。
- - マルチモーダル特徴学習: テキストと音声を統合し、性格特性の予測精度を向上
- - 音声欠落データの対応: 音声が欠けている場合でもAIが解析できるような仕組みを導入
- - 不均衡データ処理: 評価データの偏りを調整し、公平な学習環境を提供
これにより、AIによる評価が専門家の判断と相関していることが確認され、既存手法を上回る精度を実現しました。これによって、多様な候補者に対する公平かつ公正な評価が可能になります。
今後の展望
本研究の成果は、採用面接における評価の信頼性を高めるものであり、企業と候補者双方にとってのメリットがあります。2024年にはEUで施行されるAI規制法に対し、タレントアンドアセスメントは面接ログの保存や専門スタッフによる監視を行い、高リスクに対する義務を遵守しています。さらに、AIモデルは45,000件のデータに基づき、根拠説明が可能な構造を持ち、ブラックボックス化を避けています。
近日中には、AI面接のさらなる対話化や評価レポートの更新が予定されており、より公平で利便性の高い面接体験を候補者に提供することを目指しています。
研究の意義
山崎研究室は、様々なデータを活用しAI技術を進展させるための研究を行っており、企業との共同研究にも取り組んでいます。タレントアンドアセスメントが開発したAI面接サービスSHaiNは、800社以上で導入されており、今後の人事業務の効率化や評価の公平性向上に寄与するものと期待されています。
この新しいアプローチが面接の在り方を根本から変える可能性を秘めており、今後の展開が楽しみです。