最近の教育現場において、PTA(Parent-Teacher Association)の活動が再評価されています。特に不登校の子どもを持つ保護者にとって、PTAとの関わりは一筋縄ではいきません。2024年12月、株式会社キズキが運営する「不登校オンライン」が実施したアンケート調査には、不登校の子どもの保護者からの多くの声が寄せられました。この調査では、PTAに関する様々な葛藤が浮き彫りになりました。
PTAと不登校保護者の葛藤
調査結果を踏まえると、保護者が共通して抱えている悩みは、「不登校なのに、PTA活動に参加しなければならないのか?」という疑問です。多くの保護者が、本来の教育環境から外れている我が子のために何ができるのか、また自分自身どう対処すれば良いのかに苦しんでいます。以下、寄せられた主な意見とその背景を詳述します。
1. 役員の強制
多くの保護者は、役員の立候補者が不足しているために、意に反してPTA役員にならざるを得ない状況を指摘しています。「不登校の子どもを持っているにも関わらず、経験のない私が役員にされるとは思わなかった」との声があり、精神的な負担を強いられている様子が伺えます。
2. 苦痛の行事参加
さらに、「自分の子どもが参加しない行事に出席しなければならない時は非常に辛い」と語る保護者が目立ちます。他の子どもたちと接することで、自分の状況を再確認せざるを得ず、それが心の苦痛となっているようです。「何もない顔をして出席するのが辛い」と言う保護者もおり、表面上の参加と内面的な葛藤の間で揺れていることが見て取れます。
PTAの配慮不足
保護者たちはPTAの活動が学校に通う子どもを中心に展開されていることに対して不満を持っており、不登校や行き渋りを抱える子どもたちに対する配慮が欠けていると感じています。「不登校の子どもたちのために、何か施策を考えるべきではないか」という声は、今後のPTAの在り方を問う重要な指摘です。
任意加入の不透明性
また、PTAへの入会がいつから有効なのか、退会の手続きが曖昧であったりするなど、運営に対する不安もあります。「退会したいと伝えたが、以前の例がないとのことで不透明」といった事例も報告されています。
PTAの新たな役割
このように、不登校の保護者にとってPTAはただの活動ではなく、時に精神的負担や孤立感を引き起こす存在になってしまっています。調査は、「どのようにPTA活動を通じて、保護者が支え合えるのか」を改めて考えるきっかけになるかもしれません。今後は、PTAが担うべき新しい役割やアプローチ方法についても議論が必要とされるでしょう。
調査の概要
この調査は2024年12月に実施され、102名の保護者が参加しました。主に母親97名、父親4名、祖母1名が回答し、74名が現在不登校とされています。アンケートの形式は自由記述も取り入れ、参加者自身の言葉で心の声をつづってもらいました。
株式会社キズキとしても、こういった保護者の悩みや声を反映させていくことで、より良いサポート体制を構築していきたいと考えています。今後も新たな取り組みや記事を通じて、不登校保護者のための情報発信を続けていく予定です。