高等学校におけるICT活用実態の最新調査結果と未来への展望
株式会社旺文社は、2025年度の高等学校におけるICT活用実態調査の結果を発表しました。この調査は全国661校を対象としており、これまでの調査結果を踏まえ、教育現場におけるICTの現状を明らかにしています。
調査の目的と方法
調査の基本的な目的は、高等学校におけるICT機器の導入状況と、それに伴うICT関連サービスの活用実態を把握し、将来的に必要とされるサポートやサービスの内容を明らかにすることです。旺文社は独自のリストに基づいて、全国551校の国公私立高等学校にアンケートを実施。
以下は調査のポイントです。
- - 調査対象: 全国ハイエンドとして5,004校の高等学校
- - 調査方法: アンケートDMを送付し、Web回答を受付
- - 調査時期: 2024年12月初旬から2025年1月中旬
- - 調査発表日: 2025年2月13日
「1人1台」端末の導入状況
調査結果によると、全国の高等学校における「1人1台」端末の利用が95.3%となり、その中でも82.6%がタブレット型端末を使用しています。
端末の取得方式については、約3割が学校指定の端末を支給され、4割近くが家庭の負担でのBYAD(Bring Your Assigned Device)モデルが採用されています。これにより、個々の生徒が持ち込むBYOD(Bring Your Own Device)ケースは2割弱にとどまりました。
一方、家庭が端末の費用を負担する割合は約60%になるとのことです。これは家庭にとっての新たな負担となっていることがうかがえます。
ネットワーク環境の課題
校内での無線ネットワークの整備は進んでいますが、安定した通信環境の確保に苦慮している学校も多く、半数以上の調査校が「安定したネットワーク環境の整備」を課題として挙げています。通信インフラの整備が追いついていない現状が浮き彫りとなっています。
教員のICT活用スキルの向上
調査によると、約8割の教員がICT活用に手応えを感じています。しかし、以前の調査と比較すると、ICT利用の課題として挙げられていた「教員の活用スキル」が減少傾向にあります。これは高等学校においてICTの活用が当たり前になりつつあることを示す証拠です。
一方で、オンライン授業や映像授業、リモートでの課題配信といったコロナ禍で需要が高まった利点への必要性は減少しています。このことから、学校現場では対面指導やコミュニケーションを重視する“リアル回帰”の動きが見て取れます。
生成AI利用の現状
さらに、生成AIの利用については、調査対象校の約3割が「十分・まあまあ活用できている」と回答。しかし、様々な課題も挙げられ、「申請が必要」「課題をAIに任せてしまう問題」などが指摘されており、この技術の完全な実用化はまだ遠い状況です。
この調査結果を受けて旺文社は、各高等学校の実情に即したICTサービスの提供に向けて、地域の教育機関と連携して取り組んでいく姿勢を見せています。
教育現場の未来に向けて
全体として、高等学校におけるICTの定着が進む中で、新たな技術の導入に際しての課題も多く浮かび上がっています。これからは、教育におけるICTの活用が一層重要になっていくでしょう。旺文社は今後も各学校現場のニーズに応じたサービスを提供し、教育現場を支えていくとしています。
まとめ
高校教育はICT活用の時代に突入し、それに伴う課題の克服が求められています。今後の教育環境の充実と生徒の学びの質が向上することを祈っています。