国立国際美術館における「Our Times」映像劇場
2025年10月4日(土)、国立国際美術館にて開催される第28回中之島映像劇場「Our Times」は、特別展「非常の常」と関連した短編作品の上映会です。本プログラムでは、現代アートを通じて私たちの時代の様々な問題を衝いてきた作品が集まります。
1. 藤井光の《COVID-19 May 2020》
最初の作品は藤井光の《COVID-19 May 2020》で、これは新型コロナウイルスによる影響下で撮影された特異な作品です。東京都現代美術館において、藤井は隔離された空間の中で、孤立した状況を記録しました。彼の作品は、あの危機的な状況において人々がどうつながっていたかを示唆しています。孤独という逆説は、実は私たちの連帯の新しいかたちを表しているのかもしれません。
2. アン・ジョンジュとチョン・ソジョンの《機械の中の幽霊》
次に紹介するのは、韓国人アーティストであるアン・ジョンジュとチョン・ソジョンによる《機械の中の幽霊》。この作品は、破壊された生態系と社会の再生をテーマに都市開発の影響を訴えています。彼らは、非人間的な視点から現代視覚文化を描き直し、AIドローンを用いて新たな視点を提供します。
3. 折笠良の《みじめな奇蹟》
折笠良の《みじめな奇蹟》は、幻覚剤を用いて探求された精神の限界に触れています。アニメーション作品として再構成されたこの作品は、文字やスケッチから動きや色彩を生み出し、自らの精神に向き合う様子を描写しています。この作品は、探求のエッセンスを瞑想的に投影し、観る者に深い思索を促します。
4. ジョナサン・グレイザーの《Strasbourg 1518》
続いて、イギリス出身のジョナサン・グレイザーによる《Strasbourg 1518》です。この作品は、1518年にフランスのストラスブールで発生した「踊り病」を題材にし、隔離された状況における国内外のダンサー達との共同製作により生み出されました。グレイザーは、他者とのつながりがこの隔離の中でどのように生まれたかを描いています。
5. 磯部真也の《For rest》
最後に紹介したいのは、磯部真也の《For rest》。この作品は、自然の中に被写体を配置し、その変化を長期間にわたって記録したものです。映像には人間の姿は映りませんが、生命のサイクルとそれに伴う希望を描写しており、私たちの存在の一部である生命の循環を思い起こさせます。
プログラムの詳細と特別展
上映プログラムは約1時間で、各作品の時間は以下の通りです。
- - 藤井光《COVID-19, May 2020》(5分49秒)
- - アン・ジョンジュ/チョン・ソジョン《機械の中の幽霊》(20分10秒)
- - 折笠良《みじめな奇蹟》(8分13秒)
- - ジョナサン・グレイザー《Strasbourg 1518》(10分)
- - 磯部真也《For rest》(17分)
この映像劇場は、国立国際美術館の地下1階講堂で開催され、参加は無料で、各回100名までの先着制です。会場で配布される整理券を取得することで、訪れることができます。
特別展「非常の常」や「コレクション1」とのコラボレーションもあり、参加者はアートと視覚文化に関する多角的な体験ができる機会を得られます。
国立国際美術館でのこのユニークな体験を通じ、現代社会が直面する問題を共に考えてみませんか?