観測衛星データのリアルタイム活用を目指す新たな試み
最近、宇宙技術に新たな光が差し込んできました。株式会社Space Compassが、マイクロソフトとのコラボレーションを通じて観測衛星データのリアルタイムアクセスを実現するための重要な一歩を踏み出しました。今回のプロジェクトでは、AIによる船舶検知アプリが実装され、観測衛星からのデータの転送容量をなんと98%以上削減することができることが実証されました。
プロジェクトの経緯
この実証は、2019年12月にマイクロソフトと日本電信電話株式会社(NTT)が結んだ戦略的提携の一環として始まりました。観測衛星が撮影した画像データを宇宙で処理することで、より効率的で迅速なデータ活用が可能になるのです。Space Compassは、マイクロソフトと共にCo-Engineeringチームを結成し、「Azure Orbital Space SDK」を用いて、衛星上で動作するAIアプリケーションを開発しました。
この取り組みでは、従来必要とされていた特殊なハードウェアではなく、汎用的なPythonプログラムを利用して地上で開発し、衛星に転送して実証を行いました。
成果とその意味
実証期間中に、観測衛星で撮影したデータに対して即時分析が行われ、40回以上の実験を通じてプロジェクトの効果は明確になりました。AI処理技術を活用することで、到達したデータは必要な情報だけに重点を置き、不要な部分を取り除くことができ、結果的に転送するデータ量を大きく減らしました。
この成果は、観測衛星データを「空の目」として捉え、安心・安全な社会を構築するための重要な要素です。自然災害対策や安全保障など、様々な社会的課題の解決に寄与することが期待されます。
意義あるコメント
Space Compassの代表取締役Co-CEO、堀茂弘氏は「このプロジェクトにより観測衛星データのリアルタイム活用に向けて大きな一歩を踏み出せた」と述べています。また、マイクロソフトの担当者も衛星データの処理をクラウドと連携して行えることの重要性を強調しました。
今後の展開
今後、これらの技術は新たに打ち上げられる光中継衛星に活用される予定で、高速で大容量の光データリレー技術と組み合わせることで、よりシームレスに実用化することを目指します。Space Compassは、マイクロソフトとのパートナーシップを強化し、宇宙ビジネスの多様な分野への展開を目指しています。
Space Compassについて
Space Compassは、NTTとスカパーJSATが共同出資して設立した企業であり、宇宙における大容量通信とコンピューティング技術を活用して持続可能な社会の実現を目指しています。将来的には、宇宙統合コンピューティング・ネットワークの構築に向けて取り組んでいく所存です。
この画期的な技術の発展がどのように社会に貢献していくのか、引き続き注視していきたいと思います。