JCBと富士通が発表したCBDC活用のホワイトペーパー
JCBと富士通は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を活用した新たなキャッシュレスサービスの相互運用性実現を目的としたホワイトペーパーを発表しました。このホワイトペーパーは、小早川教授の監修を受けており、現代のキャッシュレスサービスが直面している課題に対する解決策を論じています。
近年、世界中でCBDCの検討が進んでいますが、日本でも日本銀行を中心にその実装に向けた議論が進められています。JCBと富士通は、このCBDCが業界の課題解決に寄与する可能性があると考え、共に取り組むことを決定しました。
ホワイトペーパーの内容
新しく発表されたホワイトペーパーでは、CBDCを介して異なるキャッシュレスサービス間でのオンラインおよびオフライン取引が円滑に行える仕組みを提案しています。具体的には、以下の2つのポイントが挙げられています。
1.
安価かつ接続可能な仕組みの必要性 - 既存のキャッシュレスサービスやインフラを基に、多くのサービスと接続できる、かつ低コストで価値交換が行える仕組みが求められています。
2.
異なるモデルの共存基盤 - 現在普及しているキャッシュレスサービスには、サーバー管理型とチップ管理型の2つのモデルが存在します。この2つの仕組みを用いて、サービス間での支払いと送金を可能にする必要があります。
現在、日本のキャッシュレス業界は相互運用性の実現において多くの課題を抱えています。このホワイトペーパーは、その解決に向けた重要な一歩となるでしょう。
JCBのCBDCへの取り組み
JCBは、2022年10月にCBDC向け決済ソリューションの実証実験「JCBDC」プロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトでは、JCBが提供するタッチ決済インフラを活用し、CBDCを介したオンライン決済環境を模索しました。2023年12月までの実証実験では、オフライン環境下でのCBDC送金の実現に向けた取り組みも行われました。
富士通の取り組み
富士通は、自社のコンサルティングファームRidgelinezを通じてCBDCの検討に関与し、決済インフラについての研究を進めています。JCBとの協業により、CBDCを活用した相互運用性の向上に向けた知見と技術の融合が期待されています。また、ブロックチェーン技術の活用も視野に入れています。
今後の展望
両社は、CBDCを駆使した安全で便利な社会の実現を目指し、今後も研究を続けていく方針です。デジタル通貨がもたらす新たな金融取引の形が期待されています。
このホワイトペーパーは、以下のリンクから参照できます:
CBDCを活用したブリッジによるインターオペラビリティの実現
会社情報
JCBは1961年に設立され、日本発唯一の国際カードブランドとして、国内外で広がる加盟店ネットワークを持っています。富士通も同じく技術革新を目指し、様々なテクノロジーを駆使したサービスを展開しています。