NMN摂取が中高年女性の髪に与える影響を探る研究成果

NMNの経口摂取と中高年女性の毛髪研究

研究の背景

日本の超高齢社会において、健康寿命の延伸が求められる中で、「若々しさ」を保つための新たな対策が急務となっています。そこで注目されているのが、ニコチンアミドモノヌクレオチド（NMN）です。NMNは、年齢やストレスによって減少する体内のNAD⁺レベルを補うことで、エイジングケアの効果が期待される化合物です。特に、NMNが毛髪に与える影響についての研究はこれまで行われておらず、本研究は中高年女性を対象にNMNの摂取が毛髪に及ぼす効果を検討する初の臨床試験でした。

臨床試験の概要

本研究は、三菱商事ライフサイエンス株式会社が早稲田大学およびクリニックFと共同で行い、40～50代の中高年女性15名を対象に、NMNの経口摂取が毛髪に与える影響を調査しました。試験参加者は、薄毛や髪のハリ・ツヤの低下を感じている人々で、約12週間、1日500㎎のNMNを摂取しました。

研究方法

被験者には、NMNを含む試験食品を毎日摂取してもらい、毛髪の成長と質の変化を観察しました。具体的には、トリコスキャンを使って毛髪の成長周期や毛髪径を評価し、SEM観察を通じて毛髪の外観を詳しく分析しました。また、主観的評価を行うために、VASアンケートを用いて毛髪の変化を被験者自身に評価してもらいました。

結果概要

試験の結果、NMNを摂取した後、毛髪の直径が有意に増加し（p<0.01）、毛髪の成長や太さ、キューティクルの改善などが確認されました。さらに、毛髪中のアミノ酸やエネルギー代謝に関連する成分も増加し、NMN補給が毛髪の成長に寄与していることが示されました。主観的な評価でも、NMN摂取による毛髪の変化を感じた参加者が多く、実際に髪の質が向上したとの報告がありました。

結論

この研究からは、NMNが中高年女性の毛髪成長やキューティクルの改善を促進する可能性が示されました。NMNの経口摂取は、髪に対してのケアに有用であり、さらにはQOLの向上にも寄与する可能性があります。毛髪は見た目だけでなく、自己肯定感にも影響を及ぼしますので、今後の研究が非常に期待されています。

■ 研究の今後の展望
今後、私はこの研究を深化させるため、さらなる臨床試験や実験を行い、美容と毛髪分野への応用を目指していきます。人々のQOLを向上させるために、NMNの可能性を探求し続ける所存です。今回の研究はあくまで基礎研究に留まりますが、NMNに関連する商品の開発へとつながることが期待されます。

発表雑誌情報

- 雑誌名: Cosmetics 2025 12(5), 204
- 論文タイトル: Oral Supplementation of Nicotinamide Mononucleotide (NMN) Improves Hair Quality and Subjective Perception of Hair Appearance in Middle-Aged Women.
- 著者: Shuichi Fukumoto 他
- DOI番号: 10.3390/cosmetics12050204
- URL: https://www.mdpi.com/2079-9284/12/5/204