ベクター、AC充電インフラの新AFIR要件に対応
ドイツのシュツットガルトに本社を構えるベクターは、2025年から施行される新しいAFIR(代替燃料インフラ規則)要件に準拠したAC充電ポイントの開発を発表しました。これにより、EV充電インフラがより安全かつ効率的に運用されることが期待されます。
AFIRは、エネルギー効率や環境への配慮が求められる現代において、特に重要な役割を果たしています。2026年と2027年には、欧州連合(EU)の公共充電ポイントと家庭用充電ポイントのすべてに、EN ISO 15118-2およびEN ISO 15118-20の規格に基づく対応が義務付けられます。これにより、相互運用性が確保され、充電インフラはよりユーザーフレンドリーになります。
新しい通信技術の導入
AFIR改正の大きなポイントは、デジタル通信技術の導入です。従来のアナログ通信に代わり、電力線通信(PLC)を活用したデジタル通信によって、車両は自動的に充電ステーションを認証できるようになります。これにより、「Plug & Charge」という新しい充電方式が可能となり、ユーザーはカードやアプリを介さずに充電を開始できるようになります。さらに、通信機能の拡張により、双方向の電力供給も実現することが期待されています。
高性能なコントローラーの必要性
新たに求められる各種機能には、高性能なコントローラーが必須です。従来のPWM(パルス幅変調)方式からの移行が求められ、デジタルPLC機能を備えることが今後の充電インフラにおいて極めて重要です。各製造業者は、充電ポイントが最新のISO規格に対応することを保証する必要があります。そのため、既存の機器の再設計や技術のアップグレードが不可欠となります。
ベクターの提供するソリューション
この新基準に対応するため、ベクターはさまざまなソリューションを展開しています。特に注目すべきは、プラグイン型コントローラー「vSECC.single Board」です。これは、AFIRの要件に適合し、充電に必要な通信ロジックを備えた制御ユニットであり、カスタム電子機器に柔軟に取り付け可能です。また、DINレールに適合した形状も用意されており、さまざまな設計要件に対応します。
さらに、充電およびエネルギー管理システム「vCharM」は、既に存在するエネルギー管理ソリューションとの統合が可能であり、双方向充電を実現します。このような整備が進むことで、ユーザーはより便利で効率的な充電体験を享受できるようになるでしょう。
まとめ
AFIRは、代替燃料インフラを整備し、EU全域での利便性向上を目指す規則です。ベクターは、充電インフラの未来を見据え、対応策を積極的に提供しています。2026年と2027年からの新しい基準が施行されることで、EV充電ポイントはより安全で便利なものになっていくでしょう。これからの充電インフラは、ベクターによって新たなステージへと進化する運命にあります。