高齢者の力を生かした新たな新聞「ばあちゃん新聞」
2023年11月、福岡県うきは市で新たに創刊された「ばあちゃん新聞」は、75歳以上の高齢者が持つ知恵やパワーを結集した情報誌です。「うきはの宝」という企業が中心となり、高齢者の就労支援を目的として立ち上がったこのプロジェクトは、地域社会とのつながりを強化するための一環として誕生しました。
高齢者の就労問題を解決する意義
うきは市での高齢化率は36.2%に達し、今後はさらなる高齢化が見込まれています。地域のばあちゃんたちは「まだ働きたい」という声を多く寄せていますが、実際に75歳以上が働ける場所は限られており、就業率はわずか7%にすぎません。そのため、「うきはの宝」では、高齢者が職場で活躍できる環境を整えることが急務だと考えています。
「ばあちゃん新聞」は、ただの情報発信にとどまらず、高齢者が自己表現できる場を提供することにあります。この新聞を通じて、地域の人々に高齢者の元気な姿を伝え、彼らの貢献を広く知ってもらうことを目指しています。
新聞の内容と発行形態
「ばあちゃん新聞」は、タブロイドサイズのカラーペーパーで、毎月上旬に発行されます。創刊号は以下のトピックで構成されています。
- - ばあちゃんたちの人生の歴史
- - ばあちゃんたちのビフォーアフター
- - おばあちゃんのレシピ
- - ばあちゃんたちのファッション
- - 孫との交流エピソード
- - 支局長たちの報告
毎号30名以上の高齢者にインタビューし、その生きざまや日常を記事としてまとめています。これにより、高齢者の知恵や技術を地域に還元する試みとなります。
ばあちゃんたちへの報酬の仕組み
この新聞の購読料やスポンサーからの資金は、ばあちゃんたちへの報酬として還元されます。新聞が売れることで、彼女たちの報酬も増加する仕組みです。定期的に発行されることで、彼女たちの労働に対する意欲を高め、地域の活性化にもつながると考えています。
創刊号の制作には、85歳の霧乃ばあちゃんが題字を手掛け、彼女の経験とエネルギーが詰まった作品となっています。技術の衰えが見え始めた中でも、彼女はこのプロジェクトの重要性を理解し、「やってみたい」という気持ちで新たな挑戦をしました。
地域との連携を強めて
「ばあちゃん新聞」は、全国の地域に支局を設け、地元の声を反映させていく方針です。さらに、公式LINEとの連携により、読者からのフィードバックを次号に活かし、より魅力的な内容にしていきます。地域の活性化を目指し、高齢者が引き続き社会で輝く機会を提供するこのプロジェクトは、他の地域にとってもモデルとなり得るでしょう。
まとめ
高齢者が持つ知恵と経験を集めた「ばあちゃん新聞」は、地域社会との結びつきを強める新たな試みです。ばあちゃんたちの声が、多くの人々に勇気やヒントを与えることでしょう。全国の高齢者が活躍できる社会の構築を目指し、今後も注目したいプロジェクトです。