セイワ工業、東栄コーティングの全株式取得を発表
大型構造物の溶接加工を手がけるセイワ工業が、1973年設立の東栄コーティング株式会社の全株式を取得した。この事業承継により、両社の協力のもとで新たな成長を目指すことが期待されている。
セイワ工業は1995年の設立以来、溶接加工業務に専念し、前代表の野見山勢次郎から現代表の野見山勇大に経営権を移譲した。経営再建に向けた取り組みとして新しい取引先の開拓や働き方改革を進めており、その知見を町工場の支援活動として書籍やコンサルティングを通じて広めている。
一方で、東栄コーティングは主に自動車部品のメッキ加工を行っているが、前社長の高齢化が影響し、後継者が不在であることから、雇用継続を条件に第三者への事業譲渡を検討していた。こうした背景から両社は事業面で相乗効果が見込まれることが決定的な要因となった。
中小企業の未来を見据えて
中小企業庁の報告によると、2025年には約127万社の中小企業が廃業の危機に直面すると見込まれており、その一因が後継者不在である。この現象はセイワ工業が取り組んでいる地域産業の支援を一層重要なものにしている。特に町工場の多くが安定した黒字を維持していても、後継者不在の理由で存続が困難になる事例が増えているという課題が存在する。
このような状況を踏まえ、セイワ工業は今後も後継者不足や経営の課題に悩む町工場への支援を行い、大廃業時代における社会問題の解決を目指していく。加えて、「世界一働きやすい町工場」を目指し、技術者の能力開発や給与水準の向上への取り組みも加速させる。
町工場のネットワーク構築へ
さらに、セイワ工業および関連会社は500社を超える町工場のネットワークを構築しており、そのネットワークを通じて人的資源の共有やIT投資、受発注のネットワーク化などを進めている。これにより町工場連合による株式上場も視野に入れた施策が進行中だ。
株式会社セイワ工業の概要
東栄コーティング株式会社の概要
結論
この事業承継は、安定した技術力を保ちながら新たな成長を目指す両社にとって意義深いステップであり、地域産業を支える重要な役割を果たしていくことでしょう。セイワ工業は今後も地方経済の活性化に貢献していく姿勢を崩すことなく、地域の町工場との強力な連携を深めていくことが期待されます。