KEBA Group AGは、2024年度において前年同期比8.5%の成長を実現し、売上高5億1,490万ユーロを記録しました。この成果は、欧州経済の低迷や地政学的リスクが影響する厳しい市場環境にもかかわらず、同社の戦略的施策の実行力と多様な事業ポートフォリオによるものでした。
多角的な事業展開が強固な基盤を支える
KEBAは「市場・業界の多様化」を成長戦略の基盤として位置付け、16カ国および28拠点で事業を展開しています。生産拠点はオーストリアやドイツ、オランダ、中国などにあり、各地域市場に深く根差した『ローカル・フォー・ローカル』の方針によって、安定した供給体制を確立しています。このグローバルネットワークによって、変化の激しい市場においても迅速に対応可能な体制を整備しています。
KEBAの売上の90%は海外からのもので、その66%はEU内(オーストリアを除く)から、約15%がアジア地域からのものです。このような多様化は、景気変動に対する耐性を向上させ、インフレや人件費の上昇といった逆風に対しても堅実な成長を維持する鍵となっています。
技術開発への投資が成功を導く
KEBAは、技術企業としての特性を活かし、研究開発(R&D)への投資を重視しています。2024年度も、売上高の約16.2%に相当する8,320万ユーロをR&Dに充て、新製品やソリューションの開発に注力しました。この継続的な投資が、長期的な成功と技術的優位性の確保に寄与しています。
主要事業分野の動向と成果
KEBAの三つの主要事業である「産業オートメーション」、「ハンドオーバー・オートメーション」、「エネルギー・オートメーション」は、それぞれ新顧客の獲得や既存顧客との関係強化に成功しています。
産業オートメーション
特に機械製造業界においては、厳しい経済環境にもかかわらず、新規大手顧客からの高い評価を得ており、製品の革新が顧客基盤拡大に寄与しています。特筆すべきは、風力発電用の先進的な駆動コントローラが好評を得ており、グローバルに広がる顧客のニーズに応えています。
ハンドオーバー・オートメーション
この分野では、過去最高の売上を達成し、特に物流および銀行分野で事業の拡大が顕著です。物流業界では、新型の宅配ロッカー「loxmate」が好評で、さらなる市場拡大が期待されています。銀行向けのセルフサービス端末も引き続き需要が高く、新モデルの発表も控えています。
エネルギー・オートメーション
eモビリティ向け充電インフラの需要が急速に拡大している中、KEBAは安定した業績を確保しています。新型壁面充電器やDO充電ソリューションメーカーの買収を通じて、競争力を一層強化しています。これにより、家庭用から商用車両向けまで幅広い充電インフラを提供する体制を整えました。
戦略的な買収が未来を開く
2024年度には、経営破たんしたオーストリアの充電インフラメーカー「EnerCharge」を買収し、急速充電器の製品群を獲得しました。この買収によりKEBAはAC充電ソリューションに加えて、DC急速充電器も取り扱うことができるようになり、さらなる市場シェアの拡大が見込まれています。また、AI専門企業「7LYTIX」の買収によって、デジタル力を強化し、自社の製品でのAI技術の応用を進めています。
KEBAの将来展望
KEBAは、今後も自動化ソリューションへの安定した需要が続くと予測し、研究開発への投資を継続します。国際展開も拡大することで、グローバルネットワークを強化し、新たな市場への進出を目指しています。AI技術とオープンイノベーションは、今後の成長の主要な原動力として機能していくことでしょう。KEBAは50年以上にわたり自動化の分野でイノベーションを続けており、今後も高品質で革新的な製品を展開することが期待されています。