最新技術を駆使した渡良瀬遊水地のヨシ焼き残火確認の成功
渡良瀬遊水地における大規模なヨシ焼き残火確認の取り組み
渡良瀬遊水地は、栃木県の南端に位置し、4つの県(栃木、群馬、埼玉、茨城)にまたがる広大な面積を持つ国内最大の遊水地です。その面積は33平方キロメートル、総貯水容量は2億立方メートルに及びます。このような広大な自然環境において、ヨシ焼きを実施する目的は様々です。主に樹林化の防止、希少植物の保全、農作物への被害を及ぼす病害虫の駆除、野火の防止、そして質の高いヨシの育成が挙げられます。
これまでのヨシ焼き作業では、広大な面積を持つ遊水地内での残火確認に多大な時間を要しました。高台からの目視だけでは小火の確認が難しく、翌日朝まで残火確認に時間がかかることも多かったのです。これを解決するために、藤成測量をはじめとする6社が参加し、最新技術を活用した新たな残火確認の試みが行われました。
参加企業は、渡良瀬遊水地ヨシ焼き連絡会の主催のもと、各社の技術を集結させました。まず、5台のドローンを使用して、指定した離発着地点からの監視体制を構築しました。ドローンには高画質カメラと赤外線カメラを搭載し、リアルタイムでの映像配信を実現しました。これにより、ドローンによる高精度な可視化と、情報の迅速な伝達が可能になりました。
さらに、通信環境が良好でない地点でも高清晰度の映像伝送ができるように、SpaceXのスターリンク(衛星通信)を設置し、どんな環境でも安定した通信を実現しました。この技術の導入により、広大な渡良瀬遊水地内で31箇所の残火の位置情報が消防関係者に提供され、前年の活動よりも監視効率が大幅に向上した結果、作業時間を2時間短縮することができました。
ドローンを活用したこの新たな作業体制は、長年の地面からの目視確認の課題を解決しました。今後、この先端技術はさらなる防災や救命救助などの緊急用途、また老朽化が進む工場やプラント点検などにも応用し、社会の様々な課題解決に向けて貢献していくことが期待されています。
この取り組みを経て、渡良瀬遊水地はただの自然環境ではなく、最新技術の実証フィールドとしても注目を集めることとなりました。今後もこのような試みが続き、環境保全と技術進化の両立が図られることを願っています。
会社情報
- 会社名
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藤成測量株式会社
- 住所
- 栃木県栃木市藤岡町藤岡5243-5
- 電話番号
-
0282-62-1512